2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の発症機構の解析とMOCAを利用した治療・再生への応用
Project/Area Number |
20200012
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
行方 和彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70392355)
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Keywords | MOCA / 神経化学 / 生体機能利用 / 再生医学 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
本研究ではmodifier of cell adhesion pmtein(MOCA)の機能を詳細に探索するとともに、神経組織の再生療法への応用を検討している。マウスへの銅キレート剤であるcuphzoneの経口投与はオリゴデンドロサイトの代謝障害による一次性脱髄を引き起こすことが良く知られている。MOCAトランスジェニックマウスへcupdzoneを投与したところ、野生型マウスに比べて脳梁における脱髄が抑制されており、MOCAはオリゴデンドロサイトの細胞死を抑制している可能性が推測された。MOCAの活性を制御することによって、脱髄性疾患の予防・治療へ繋がる可能性がある。今後はMOCAによる細胞死抑制の分子メカニズムの解明を進める。一方、これまでに解析からMOCAはWACEやFynなど多くのタンパクと結合することが明らかとなってきた。リン酸化されたMOCAはWAVEとの結合能が顕著に低下していたことから、MOCA-WAVEの結合はリン酸化によって制御されていることが推測された。 MOCAから解離したWAVEはRac1と複合体を形成することによってアクチン繊維ヘシグナルを伝達していた。また、MOCAが細胞膜へ移行するためにはFynとの結合が必要であったが、これはBDNFシグナルによって制御されている事が明らかとなった。さらに、MOCAトランスジェニックマウスでは視神経挫滅後の再生が促進していたことから、BDNFからMOCAへのシグナル伝達が視神経再生に関与している可能性がある。MOCAの機能を制御することによって視神経の疾病・障害に対して新たな治療法の開発に繋がる可能性が考えられた。
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