2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の発症機構の解析とMOCAを利用した治療・再生への応用
Project/Area Number |
20200012
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
行方 和彦 (財)東京都医学総合研究所, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70392355)
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Keywords | Dock3 / WAVE / BDNF / 軸索再生 / 視神経 |
Research Abstract |
Dock3は別名でModifier of cell adhesion protein(MOCA)と呼ばれ、アルツハイマー病の原因物質であるpresenilinに結合する全く新規の蛋白質として発見されたが、その分子機能はほとんど不明であった。これまでに申請者はDock3が中枢神経系に特異的に発現し、細胞骨格の構築を制御するRac1特異的なguanine nucleotide exchange factor(GEF)であることを明らかにしてきた。本研究ではDock3の神経細胞内における機能解析を進め、Dock3が神経栄養因子brain-derived neurotrophic factor(BDNF)の下流で活性化Fynと結合することによって細胞膜へ移行することを見出した。その際にはアクチン繊維の重合に重要なWAVEもまたFyn-Dock3とともに細胞膜上で複合体を形成し、効率よくRac1シグナルを下流へ伝達していることが判明した。細胞膜上ではDock3がリン酸化を受けるが、このDock3-WAVEの結合はDock3のリン酸化修飾によって解離することも明らかとなった。さらに新規にDock3を過剰発現するトランスジェニックマウスを作成したところ、野生型マウスと比較して視神経外傷後の軸索再生が顕著に亢進することを発見し報告した(Namekata et al., Proc Natl Acad Sci USA,2010)。Dock3はアルツハイマー病患者の脳では減少することがすでに報告されているが、Dock3が神経細胞の保護・再生に関与することが示唆される。
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