2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲーティング固体ナノポアによるDNAシーケンシング
Project/Area Number |
20200025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 正輝 Osaka University, 産業科学研究所, 准教授 (40362628)
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Keywords | 固体ナノポア / DNAシーケンシング / 1分子科学 / 生体分析 / ナノ加工 |
Research Abstract |
昨年度開発した11ステップの微細加工を組み合わせた作製プロセスを用いて、直径30nmのゲーティングナノポアを作製し、これにPDMSマイクロ流路を組み合わせ、ゲーティングナノポアデバイスを作製した。このデバイスを用いて、平均直径28nmの金ナノ粒子を測定したところ、スパイク状の電気シグナルが得られた。ピーク電流値と電気シグナルの減衰時間の統計解析を行い、定常状態の流体解析を行った結果、得られた電気シグナルは、1個の金ナノ粒子がゲーティングナノポアを通過するときに流れるトンネル電流であることが示唆された。 ナノ電極とナノ流路が基板平面と平行に配置されたゲーティングナノポアデバイスを用いて、電流計測による1分子の核酸塩基識別を行った。電極間距離が1nmのナノ電極は、ナノ加工機械的破断接合により作製された。4つの核酸塩基分子を1種類毎、ゲーティングナノポアデバイスに流したところ、金ナノ粒子と同様なスパイク状の電気シグナルが得られた。得られた電気シグナルを統計解析した結果、アデニン以外の3つの核酸塩基が異なる電流ピークを持つことを明らかにした。得られた電流起源を調べるため電流ピークの電圧依存性を調べたところ、電流と電圧が線形関係にあることが分かり、トンネル電流が電流起源であることが示唆された。従って、ゲーティングナノポアデバイスによる電流計測により、1個の核酸塩基分子を識別できる原理を実証し、単一DNA分子におけるシーケンシングの実現に向けて飛躍的な進展が得られた。
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