2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20200035
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Research Institution | Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences |
Principal Investigator |
河野 俊之 Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences, 研究部門・蛋白質立体構造研究グループ, 主任研究員 (40416657)
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Keywords | 生物物理 / NMR / 無細胞タンパク質合成 / 安定同位体標識 |
Research Abstract |
我々が開発したMAGICAL法は、特殊な安定同位体標識を20通り行った蛋白試料を無細胞蛋白質合成系により調製し、それぞれの蛋白質に対して2次元HN(CO)/HN(CA)/H(N)CA/H(NCO)CA/H(N)CO/H(NCA)CO-TROSYのNMRスペクトルを測定し、解析することで従来法において必要であった濃度の1/10程度の低濃度の目的蛋白質を用いて、より高分子量で不安定な蛋白質のNMRシグナルを簡便に帰属可能な方法である。本年度は、このMAGICAL法において、より高感度に測定ができるように安定同位体標識方法の改良を行った。特に、H(N)CA/H(NCO)CA-TROSYやH(NCA)CO-TROSYなどの測定感度を大幅に向上させるために、通常の^2H/^<13>C/^<15>N標識アミノ酸のかわりに^2H/^<13>C/^<15>N標識でもCOとCαのみが^<13>C標識されCβが^<13>C標識されていないアミノ酸を用いた。その結果、H(N)CA/H(NCO)CA-TROSYにおいては、感度が2倍に向上した。これは、同じ測定時間であれば、従来の1/2の濃度の試料を用いれば良く、同じ濃度であれば従来の1/4の測定時間で同等のスペクトルが得られることに相当する。また、スレオニン残基やセリン残基のH(NCA)CO-TROSYにおいては感度が10倍程度向上した。これは、同じ測定時間であれば、従来の1/10の濃度の試料を用いれば良く、同じ濃度であれば従来の1/100の測定時間で同等のスペクトルが得られることに相当する。以上のことより、高分子量蛋白質のNMRシグナルを帰属するために必要な試料濃度の大幅に低下、あるいは測定時間の大幅な短縮が可能になった。
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