2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力地質学の創成:粉体物理が拓く太陽系科学の新展開
Project/Area Number |
20200048
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
矢野 創 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 助教 (00321571)
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Keywords | 惑星系形成 / 小惑星 / 彗星核 / 小型衛星 / 衝突現象 / 粉体流動 / 微小重力地質学 |
Research Abstract |
H20年度は本研究の初年度であり、本研究費を代表研究者が使用できるようになったのは2008年12月であった。実質的な活動期間は3ヶ月ほどだったため、微小重力実験装置の製作・改良と関連研究者間の相互協力を促す「微小重力地質学研究会」の創設・開催が、その間の主な実績である。 「研究項目1:低重力天体の地質・地形データの高解像度解析」については、JAXAの公開ドメインにある小惑星イトカワの地質・地形データを再整理した。代表研究者が関わった過去の微小重力衝突実験の取得データも再整理し、探査・実験双方のデータベースを構築した。これらを微小重力天体上の試料採取装置開発へ応用した研究発表を行った。 「研究項目3:微小重力環境下での衝突実験」と「研究項目4:微小重力環境下での粉体流動実験」については、次年度からスムースに実験を開始できるよう、それぞれの実験条件を設定し、各実験装置の整備・改修、または新規設計・製作を行った。具体的には、まず本研究専用の実験スペースをJAXA相模原キャンパス内に確保し、そこに1G対照実験用バネ銃、粉体の安息角計測器、マイクロ天秤などを整備した。次に過去にMGLAB落下塔で使用していた真空チェンバ内部を全面的に改修し、様々な形状の物体が微小重力下で低速衝突できる射出機構を新作した。火薬式銃の設置が可能な落下塔チェンバについては、自由落下に供せる高速度観測用カメラと小型オシロスコープを増設し、動作確認を行った。さらにJAXA相模原キャンパス内の高度30m、自由落下時間2秒を確保できるスペースを本研究で使用できるよう所内で調整を行い、次年度に実験装置を整備できる見込みを得た。 2009年2月には国内の関連研究者を招いて「第一回微小重力地質学研究会」を主宰し、今後も定期的に開催することで、新しい学問領域である本研究の裾野を広げる協力体制を構築した。
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Research Products
(4 results)