2009 Fiscal Year Annual Research Report
ピンサー型異種二核金属錯体の創製に基づく二酸化炭素、メタンの触媒的固定化反応開発
Project/Area Number |
20200049
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷹谷 絢 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (60401535)
|
Keywords | 合成化学 |
Research Abstract |
前年度までに、PSiPピンサー型パラジウム錯体を触媒とすることで、1気圧の二酸化炭素雰囲気下、アレンのヒドロカルボキシル化反応が進行することを見いだし、また同様のニッケル、白金のピンサー型錯体の合成にも成功した。そこで本年度は本二酸化炭素固定化反応をより汎用性の高い合成反応へと展開することを目指し、原料としてより入手容易な1,3-ジエン類を用いる実用的かっ高効率的なヒドロカルボキシル化反応について検討を行った。その結果、イソプレンに対し、THF中、1気圧の二酸化炭素雰囲気下、触媒量のパラジウム錯体をトリエチルアルミニウムとともに作用させると、ヒドロカルボキシル化反応が進行し、2,3-ジメチル-3-ブテン酸がほぼ単一の生成物として高収率で得られることを見出した。このときカルボキシル化における位置異性体は全く生成せず、なおかつ触媒回転数(TON)は274にまで達することが明らかとなった。本反応は鍵活性種として生じるピンサー型ヒドリドパラジウム錯体のジエンとの位置選択的なヒドロメタル化、ならびに生じるσ-アリルパラジウム錯体の多置換炭素上での位置選択的求核付加によって進行しているものと考えている。さらに本反応は、1,3-ブタジエンにも適用可能であり、2重結合の異性化を起こした(E)-2-メチル-2-ブテン酸が主生成物となるものの、カルボキシル化体をTON524で得ることかできた。さらに多様な置換ジエン誘導体のヒドロカルボキシル化にも成功しており、PSiPピンサー型パラジウム錯体を触媒とする、より反応性の高い高効率的な二酸化炭素の還元的アルキル化反応の開発に成功した。
|
Research Products
(11 results)