2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸素活性化金属酵素反応解明と高効率分子触媒創製に向けての学際的研究
Project/Area Number |
20200050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
劉 勁剛 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 学術研究員 (70380540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 雄大 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任助教 (70509950)
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Keywords | 酵素 / モデル化 / 有機化学 / 生体分子 / 生体機能利用 / 生物無機化学 / 分子触媒化学 / 酸化触媒 |
Research Abstract |
1-1. ヘム-ペルオキシ体の合成の改良と分光学による構造解析 : ヘム-ペルオキシ体及び類縁体について、ヘム周辺の置換基の最適化により安定性の向上を図りメスバウバー、吸収分光、電子スピン共鳴、共鳴ラマンによる分子構造解析を行った。これらの解析により各種ヘム-ペルオキシ体の微細分子構造を明らかにし、酸化触媒の分子設計おいて重要な知見を得た。 1-2. フッ素化ポルフィリン鉄錯体の合成 : 配位子場の制御が可能な軸配位子をもち、かつヘム周辺にフッ素を含む新規フッ化ポルフィリン鉄錯体を合成した。予備的な分光学的解析を行いヘムーペルオキシ中間体が生成することを明らかにし、フッ素化ポルフィリンが耐久性に優れた酸化触媒として機能し得ることを示した。 2. プロトンメデイエーターを有するヘム錯体の合成および酸素との反応性の検討 : 配位子結合部にプロトン供給を可能にするヘム側鎖(キサンテン骨格をカルボン酸で修飾)をもつ新規ヘム錯体を合成し、酸素との反応性について検討した。吸収分光法、共鳴ラマン分光法による解析により、ヘム鉄に結合した酸素分子とカルボン酸が水素結合を生成することを明らかにし、高効率な分子触媒設計に重要な指針を得た。 3. ペルオキソ架橋ヘム-銅錯体における酸素活性化と基質酸化反応 : ヘム-銅錯体において生成するペルオキシ錯体のチロシナーゼ様反応の分子機構について検討するために、低温にてペルオキシ錯体とフェノラートとの反応を行い吸収分光法および共鳴ラマン分光法により解析した。反応初期においてフェノールがペルオキソ錯体と相互作用することが示唆されたが、結論するにはさらなる解析を要する。 4. 放射光源を用いた核共鳴非弾性散乱法(NRIS)の酸素活性中間体への適用 : 次年度の本格的な不安定酸素活性中間体のNRISによる解析に向けて、サンプルセルの設計およびサンプルの調製について検討した。
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