2009 Fiscal Year Annual Research Report
酸素活性化金属酵素反応解明と高効率分子触媒創製に向けての学際的研究
Project/Area Number |
20200050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
劉 勁剛 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任准教授 (70380540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 雄大 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70509950)
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Keywords | 酵素 / モデル化 / 有機化学 / 生体分子 / 生体機能利用 / 生物無機化学 / 分子触媒化学 / 酸化触媒 |
Research Abstract |
(1)前年度に行ったヘム周辺の置換基の最適化によるヘム-ペルオキシ体及び類縁体[Fe(III)-ペルオキシ体、Fe(III)-ヒドロペルオキシ体、Fe(II)-スーパーオキシ体]の安定性の向上の成果を基に、新たに導入した430nm励起光源を用いた共鳴ラマン分光による分子構造解析を行った。本研究により、6配位エンドオン型ヒドロペルオキシ錯体、7配位サイドオン型ペルオキシ錯体の分子振動構造を明らかにし、各種ペルオキシ種の構造と反応性の相関の理解に寄与した。 (2)ヘム遠位側が保護されていないモデル錯体では-75℃の低温でのみエンドオン型ペルオキシドが観測可能で、温度上昇と共に安定性の高いサイドオン型へと変化した。そこで、酸素反応部位上方にMeO_2C-基を有するモデルを合成することにより、-30℃において、スーパーオキシド錯体から還元によりエンドオン型ペルオキシド生成/プロトン化が実現できた。これらの化学種は、酸素活性化分子機構の解明において鍵とされながらその不安定性により諸性質が知られていなかった。本研究により安定に化学種を研究する方法が開かれ、関連分野に大きく寄与することとなった。これらの研究成果は、燃料電池酸素還元触媒の合理的な設計に必要な知見を与える。 (3)放射光源を用いた核共鳴非弾性散乱法(NRVS)を用いて、ヘム鉄錯体のヘム鉄フォノンの解析を行った。共鳴ラマン分光ではその選択則から解明されなかったヘム鉄低振動モードについてNRVSにより理解が深められ、ヘム鉄と2原子気体分子の反応性において本質的な振動モードの解明に寄与した。
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