2010 Fiscal Year Annual Research Report
酸素活性化金属酵素反応解明と高効率分子触媒創製に向けての学際的研究
Project/Area Number |
20200050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
劉 勁剛 九州大学, 先導物質化学研究所, 特任准教授 (70380540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 雄大 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70509950)
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Keywords | 酵素 / モデル化 / 有機化学 / 生体分子 / 生体機能利用 / 生物無機化学 / 分子触媒化学 / 酸化触媒 |
Research Abstract |
酸素活性化ヘム酵素においては、ヘム鉄と酸素が結合を生成した後、電子移動反応がおこる。この電子移動反応に対する環境の効果について検討するために、溶媒の極性および対カチオン存在の有無によるヘム鉄-酸素錯体の一電子還元機構について検討した。 極低温下77Kにおいてヘム鉄-酸素付加体をγ線照射して得られる還元化学種について各種分光法(電子スピン共鳴および共鳴ラマン分光)により検討した、その結果、低極性溶媒中では、鉄二価スーパーオキシ体が生成するのに対し、高い極性溶媒中においては、鉄三価ペルオキシ体が生成することを明らかにした。スーパーオキシ種およびペルオキシ種は原子価互変異性体であり、ヘム周辺環境により電子状態に違いが生じることは理論化学的な解析と一致している。また、硬い対カチオン(カリウムイオン)存在下では、エンドオン型およびサイドオン型鉄三価ペルオキシ錯体が生成することを見出した。反応溶液の温度を下げるとエンドオン型ベルオキシ錯体が生成するが、温度を上げるとサイドオン型ペルオキシ錯体が主に生成することを見出した。このことは、ヘム酸素付加体の一電子還元においてサイドオン型およびエンドオン型両方が存在しうることを意味する。ヘムペルオキシ錯体は酸素活性化において鍵となる反応中間体であり、本基礎研究により、酸素活性化酵素反応機構の理解の深化ならびに、燃料電池酸素極触媒の分子設計に重要な知見を与えた。
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