2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規:原子ビームによる表面科学および細胞生理化学への応用
Project/Area Number |
20200054
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
梅澤 憲司 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 教授 (80213487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 健助 大阪府立大学, 総合教育研究機構, 教授 (10209942)
加藤 幹男 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (30204499)
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Keywords | 原子散乱 / 表面構造解析 / 細胞生理学 |
Research Abstract |
本研究は、表面科学と細胞生理学の2つに分けられる。最初に表面科学の研究についてのべる。現在まで、電荷を持たない原子ビームをパルス化した低速原子散乱装置を開発してきた。空間分解能は0.1A以下である。入射プローブは電気的に中性であるので固体表面での電荷蓄積を考慮することはなく絶縁体表面原子構造の解析に活用することを研究目的としている。平成22年度は3keV-^4He^0原子ビームを生成した。計測にあたり、前年度に特許出願を行った原子の飛行時間を測定するための計測計時装置を利用した。計測制御プログラムは、マッピングが取れるよう試料ホルダーに付随しているステッピングモータとの連動ができるようにした。研究を重ねた結果、絶縁体表面原子構造のマッピング図が取れる装置となった。2次元的には、XY方向であるが、深さ方向をZ軸とすると、表面第1原子層から第5、6層付近までの原子配列を反映したイメージ像が取れるようになった。恐らく世界的に見ても過去に類似した例はないのではないかと想像する。様々な試料を計測中であるが、得られるデータは新しい知見を含んでいると考える。 次に細胞生理学への応用について述べる。2 MeV-H^+ビームを真空外へ直接取り出し、溶液中においたべん毛をもつ生体細胞へ照射しDNAとの相互関係を調べている。特に、線エネルギー付与と細胞への照射効果の関連性について解析を行っている。この結果は、インドで開催された国際会議にて発表を行った。~10^<11>atoms/cm^2の照射で細胞の働きに顕著な影響が出ていることがわかった。この研究では、AFM装置を利用し細胞の形状観察も行っている。上記で述べた研究は、従来にない新しい分野の研究である。今後さらなる研究の発展をさせていく 尚、分担者のうち1名は、年度当初において本課題に取り組む予定であったが、業務が増加し実施することができなくなった。他の2名で研究を遂行し上記で述べた研究成果を挙げた。
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