2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工ウイルス合成に向けたヒト完全再構成型翻訳システムの開発
Project/Area Number |
20200056
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
今高 寛晃 University of Hyogo, 大学院・工学系研究科, 教授 (50201942)
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Keywords | 再構成 / タンパク質合成 / RNAウイルス / 人工ウイルス / 試験管内合成 |
Research Abstract |
平成20年度は以下の2項目の研究を行った。 1. ヒト由来タンパク質合成系再構成のための翻訳関連因子の精製 : 翻訳開始因子(elF1, elFIA, eIF2, elF3, eIF4A, eIF4B, eIF4E, elF4G, eIF5, eIF5B), 翻訳伸長因子(eEFIA, eEFIB, eEF2)翻訳停止因子(eRFI, eRF3)をすべて発現、精製した。特に大型タンパク質(例えばeIF4G)はヒト細胞抽出液によるセルフリー合成により効率的に合成した(Mikami et.al. 2008)。 2. ウイルス合成のメカニズム解明のためにヒト細胞抽出液を用いてウイルス合成、およびウイルスRNA合成について詳しく解析した。二つのウイルス : E型肝炎ウイルス(HEV)脳心筋ウイルス(EMCV)について以下のような知見を得た。 HEV : このウイルスのゲノムRNAはORF-1とORF-3が繋がった形になっており、ORF-1の翻訳が終了すると、同じリボソームが下流にあるORF-3を翻訳する。ORF-3の翻訳のメカニズムを調べるためにヒト細胞抽出液を用いて解析したところ、翻訳開始因子eIF2を必要とするが、eIF4Aを必要としないことがわかった(小林、第10回RNAミーティング)。 EMCV : このウイルスが複製するために膜成分がどのように関わっているかを解析した。複製されたRNAは膜に結合していることがわかり、RNAがどのようにして膜に結合しているかを調べるために、EMCV由来のタンパク質の局在をしらべたところ、2B, 2Cという成分が膜に局在していることがわかった。しかし、2B, 2Cだけを発現させてもRNAを結合させることはできず、ほかの因子がRNAの局在に関与していることが示唆された。また、EMCVRNAが膜に局在するための重要な領域は5'末端から300塩基(IRES領域)であることもわかった。
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