2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工ウイルス合成に向けたヒト完全再構成型翻訳システムの開発
Project/Area Number |
20200056
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
今高 寛晃 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 教授 (50201942)
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Keywords | 再構成 / タンパク質合成 / RNAウイルス / 人工ウイルス / 試験管内合成 |
Research Abstract |
1. 再構成翻訳系の樹立と2.セルフリー系での脳心筋炎ウイルス(EMCV)合成に分けて研究を行った。 1. EMCV-IRESからの翻訳に必要である翻訳関連因子:eIF1, eIF1A, eIF2, eIF2B, eIF3, eIF4A, eIF4B, eIF4G, eIF5, eIF5B、翻訳伸長因子eEF1A, eEF1Bα, eEF1β, eEF1Bγ,翻訳停止因子eRF1、eRF3、アミノアシルtRNAリボソームサブユニット(40Sと60S)PTBを混合し、再構成翻訳系を構築した。このシステムにRNA:EMCV-IRES-L-1A-1B-FLAG-Cys(4)を添加した。このRNAはEMCV RNAの途中までの断片であり、390個のアミノ酸からなるタンパク質をコードしている。C末のFLAGとシステインは抗体と放射性同位元素を用いて翻訳産物を検出できるように付加されている。結果として、相当する翻訳産物は観察できなかった。理由として、アミノアシルtRNAの合成が、不純物の混入により低効率になっている、ということが考えられる。そこで、tRNAを反応に用いる前に精製することが望まれる。 2. ヒト細胞抽出液由来試験菅内でのEMCV合成が、細胞における合成をできるだけ再現できるようにシステムを改良した。つまり、透析法を用い、エネルギー源の供給と、老廃物の除去を持続的に行えるようにした。このシステムで全長めEMCV RNAをインキュベートしたところ、ウイルス性タンパク質の合成とRNA合成が同時に進行した。これは感染細胞における両者の合成を忠実に反映するものである。そして最終的には、EMCV粒子が試験菅内で合成することを確認した。 ウイルスのRNAめ合成には、その翻訳産物であるRNA合成酵素が必要であるため、先に翻訳が起こり、RNA合成がそれに続くと考えられるが、実際は同時に起こっている。この翻訳とRNA合成の関係をさらに追及するため、セルフリーRNAレプリコンの構築を行った。これは、ウイルス粒子形成に必要なカプシドの部分を取り除き、代わりにルシフェラーゼをコードさせたものである。このRNAを上の試験菅内合成システムで反応させると、レプリコンRNAは24時間で数十倍に増幅し、コードされているルシフェラーゼの合成量もそれに付随して増加した。つまり、ごシステムを用いてもタンパク質合成とRNA合成は同時に行われることがわかった。
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