2010 Fiscal Year Annual Research Report
メンブレンモルフォテクノロジー(膜形態工学)-ひだ状人工膜の構築を目指して
Project/Area Number |
20200058
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡 敏彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (40263321)
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Keywords | クリステ構造 / ひだ状人工膜 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
1)LETM1蛋白質の構造解析 クリステ構造の形成・維持に重要であるとして私達が見出したLETM1は、幾つかの構造的に特徴のあるドメイン(EFハンド、ロイシンジッパー、LETMホモロジードメイン)を有している。平成21年度までの酵母のLETM1相同遺伝子MDM38欠損株の相補能テストにより、膜間通領域を含むLETMホモロジードメイン(LETM1 HD)が不可欠であり、EFハンドとロイシンジッパーは必要ないことを明らかにした。最終年度は、このLETM1 HDの中で、酵母からヒトまでに保存されているアミノ酸残基を3カ所をアラニンに置換した変異体が相補能を失っていることを見出し、LETM1の機能に必須な残基を同定した。LETM1があオリゴマーを形成することと考え合わせると、これらの残基は膜間通領域付近での会合に重要であることが推測される。 2)折りたたみ膜構造の再構築 カイコで発現したLETM1を精製後、人工リポソームに埋め込み折り畳み膜構造を再構成する方法として、急速凍結置換法による電子顕微鏡観察を用いていたが、安定して500nm以上の大きなリポソームが観察できなかった。これまでは、界面活性剤存在下での希釈によるリポソーム形成法では、大きなリポソームは出来難いと言われていたが、私達は溶液にリゾチームなどの蛋白質を緩衝剤として加え、希釈後すぐに凍結することで、数は少ないが十分観察できる数のリポソームを再構成できるようになった。この方法で再構成したLETM1では、一部核の陥入が見られた。本研究で、これまで難しいと考えられていた膜蛋白質の巨大リポソームへの再構成への道が開けた。この手法を今後さらに発展させていきたいと考えている。
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