2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の感染防御応答に関わる葉緑体カルシウムシグナル伝達ネットワーク
Project/Area Number |
20200060
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中平 洋一 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 特任講師 (40423868)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 泰 名古屋市立大学, システム自然科学研究科, 准教授 (70381902)
|
Keywords | 葉緑体 / Ca^<2+> / 植物・病原体相互作用 / 過敏感細胞死 / CAS |
Research Abstract |
Ca^<2+>シグナリングは、植物細胞の感染・ストレス応答で受容な役割を果たしている。しかし、細胞内Ca^<2+>シグナル伝達ネットワークの中で葉緑体がどのような働きをしているかは、ほとんど知られていない。一方、研究代表者らはストレスを受けた細胞の葉緑体で一過的なCa^<2+>濃度の上昇が生じることを見いだし、その分子機能の解明に取り組んでいる。本研究では、感染・ストレスシグナルをCa^<2+>シグナルに変換して葉緑体へ伝達するシグナル伝達機構とCASの分子機能の解明(A課題)、葉緑体Ca^<2+>シグナルに対する葉緑体応答の研究(B課題)、病害応答関連遺伝子の葉緑体を中心とした細胞内局在制御の検証(C課題)の3課題に取り組んでいる。A課題については、まず、感染や環境ストレスの違いによって特徴的な葉緑体Ca^<2+>シグナルが発生することを見いだし、それに応じて異なった応答を引き起こしている可能性を示唆した。また、葉緑体Ca^<2+>シグナルの発生機構については、細胞質Ca^<2+>濃度の上昇が引き金になって細胞膜のNADPHオキシダーゼの活性化され、その結果生成する活性酸素種(過酸化水素)がシグナル分子として葉緑体のCa^<2+>シグナルを誘導している可能性を示した。さらに、チラコイド膜のCa^<2+>結合タンパク質CAS遺伝子の欠損変異体で、細菌エリシターが誘導する抵抗性遺伝子群の発現が抑制されたり、タイプIIIエフェクター依存の過敏感応答を遅延することを見いだした。これは、葉緑体から細胞の防御応答に関わる何らかのシグナルが発信されていることを示唆している。B課題については、メタボローム解析の準備を進めるともに、葉緑体Ca^<2+>濃度の上昇に依存して翻訳活性が変化する可能性について、in vitro翻訳系を用いた解析を進めた。C課題については、病理応答に関わるチオレドキシンが葉緑体局在タンパク質であることを確認した。さらに、その局在が病原菌感染によって変化する可能性について検討を進めている.
|
Research Products
(20 results)