2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物の感染防御応答に関わる葉緑体カルシウムシグナル伝達ネットワーク
Project/Area Number |
20200060
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中平 洋一 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任講師 (40423868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 泰 名古屋市立大学, システム自然科学研究科, 准教授 (70381902)
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Keywords | 葉緑体 / Ca^<2+> / 植物・病原体相互作用 / 過敏感細胞死 / CAS / PR-1 / サリチル酸 / プラスチドシグナル |
Research Abstract |
20-21年度の研究から、植物における病原体の感染シグナルがストロマCa2+レベルの一過的変化として迅速に葉緑体に伝達されていること、葉緑体チラコイド膜タンパク質CASが、気孔閉鎖からカロース誘導、PR1などの防御遺伝子の発現誘導、さらに過敏感細胞死の誘導など多彩な防御応答に必要であることを明らかにした。その結果、葉緑体が植物の感染防御応答シグナル伝達において中心的役割を担うという新しい機構が見えてきた。葉緑体は、何らかのシグナルを発信して細胞質や核でおこる防御応答を制御していると考えられる。そこで、22年度は、葉緑体が細胞質や核で起こる防御応答をコントロールする機構について集中的な解析を行い、以下の結果を得た。 (1)サリチル酸は、植物の感染防御応答でストレスホルモンとして重要な役割を担う。今回、サリチル酸の合成誘導にCASが必要であることを明らかにした。葉緑体が、サリチル酸誘導を介して植物の防御応答を制御していると言う新しいモデルを提唱した。 (2)サリチル酸合成は、その合成酵素ICS1の発現誘導によって活性化されるが、cas-1変異体では、ICS1の発現誘導が抑制されることを見いだした。そこで、cas-1変異体を対象としたマイクロアレイ解析を行い、CAS依存遺伝子の同定を行った。その結果、エリシターflg22が誘導する初期遺伝子(2時間後)の多くがCAS依存であることを明らかにした。この研究から、葉緑体が発信するプラスチドシグナルが、サリチル酸誘導に先立つ核コードの防御遺伝子群の発現誘導に関係することが分かった。
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Research Products
(5 results)