2010 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス複製におけるスフィンゴ脂質の役割と動態変化・恒常性維持機構の解析
Project/Area Number |
20200067
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
平田 雄一 (財)東京都医学総合研究所, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (50439452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 文彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40399473)
棟方 翼 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (50420237)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / C型肝炎ウイルス / スフィンゴミエリン分子種 / セラミド |
Research Abstract |
平成22年度は、HCV感染動物モデルにおけるスフィンゴ脂質動態の変化と複製に必須なスフィンゴミエリン分子種の解析を行った。 我々は、ヒト肝臓型キメラマウスを使用し、HCVの感染によりセラミドが増加すること、さらには増加したセラミドを代償するためにスフィンゴ脂質合成酵素を亢進し転換していることを見出した。さらに、MS spectrometerを使用し分子種レベルでの検討を行ったところ、ほぼ一様にすべての分子種において増加していることが確認された。また、この増加パターンはHCVのgenotypeにより異なることが判明した。 次に、この上昇したスフィンゴ脂質を抑制した際の変化を解析した。スフィンゴ脂質合成の最上流酵素であるセリンパルミトイルトランスフェラーゼの肝臓特異的阻害剤を作製し、HCVヒト肝臓型キメラマウスに投与したところ、強い抗ウイルス活性が認められた。さらにこの抗ウイルス活性は肝臓内スフィンゴミエリン量に依存していることが確認された。 どのスフィンゴミエリン分子種がHCV複製に関与しているかを解明するため、上記阻害剤投与時のそれぞれのスフィンゴミエリン分子種の動態変化とその際のHCV-RNA量の変化を解析した。すると、肝臓内で我々が同定した4つのスフィンゴミエリン分子種のうち、2つの分子種がスフィンゴミエリン量とHCV-RNAに強い相関があることが判明した。 以上の発見は、病原体がそのライフサイクルに特定の脂質分子種を利用していることを示すものであり、スフィンゴミエリン分子種の生物学的な機能の解明につながる可能性がある。
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Research Products
(9 results)