2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫とRNA修飾:全身性エリテマトーデス発症の分子機構
Project/Area Number |
20200070
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上地 珠代 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (10381104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
高見 恭成 宮崎大学, 医学部, 准教授 (80236356)
比嘉 三代美 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (20381105)
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Keywords | RNA修飾 / 人工抗体 / SLE / ゼブラフィッシュ / 自己免疫疾患 / モルフォリノアンチセンスオリゴ / ノンコーディングRNA / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
生体内にはタンパク質に翻訳されないノンコーディングRNAが多数存在する。これらRNAは修飾を受けることで機能を獲得すると考えられる。修飾には、メチル化やシュードウリジン化など100種類以上が知られているが、その意義が明らかなものは少ない。一方、全身性エリテマトーデス(SLE)患者ではリボソームRNA(rRNA)に対する抗体が産生される。この抗体認識部位のRNA修飾が疾患発症に関わる可能性がある。これを明らかにするために、修飾欠損モデルを作成し、生体システムにおけるRNA修飾の役割を分子レベルで解析することを目的とする。 1. RNAを認識する人工抗体の単離 RNA修飾の有無を識別する抗体は、修飾の意義を解明する強力なツールとなる。そこで、人工抗体ライブラリーからの抗RNA抗体の単離を試みた。U1 snRNAの一部を抗原としてスクリーニングを行い、有力な5つの抗体遺伝子クローンを得た。今後、ゲルシフト法およびELISA法により抗体の特異性を検定する。 2. RNA修飾欠損モデルの作成 ゼブラフィッシュにおいてrRNAの修飾に働くタンパク質および修飾をガイドする遺伝子の発現を、モルフォリノアンチセンスオリゴを用いて抑制した。いずれの胚においても、脳の形成不全、色素沈着の異常、血球数の低下がみられ、個体形成においてRNA修飾が必須であることが示唆された。これらの表現型とRNA修飾との関連を明らかにするために、質量分析装置を用いたrRNA修飾の定量解析へと発展させる。 これまでに例のないRNA抗体の単離は、レパートリーが豊富な人工抗体ライブラリーを用いることで可能となることが示唆された。また、本研究で確立したRNA修飾欠損モデルの作成方法は、RNA修飾の網羅的な機能解析、また疾患発症との関連を探求する上で重要な基盤となる。
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Research Products
(5 results)