2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫とRNA修飾:全身性エリテマトーデス発症の分子機構
Project/Area Number |
20200070
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上地 珠代 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 研究員 (10381104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 淳 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80245464)
比嘉 三代美 琉球大学, 医学研究科, 助教 (20381105)
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Keywords | RNA修飾 / 人工杭体 / SLE / ゼブラフィッシュ / 自己免疫疾患 / モルフォリノアンチセンスオリゴ / ノンコーディングRNA / ファージディスプレイ |
Research Abstract |
タンパク質に翻訳されないノンコーディングRNA(ncRNA)が、生体内に多数存在する。これらのRNAは種々の修飾を受けているが、その意義は不明である。一方、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の血清からリボソームRNAに対する抗体が多数見つかっている。なぜこのような抗体ができるのかは明らかではない。私たちは、RNA修飾の有無が免疫活性化の原因になるのではないかと考えた。これを明らかにするために、修飾欠損モデルを作製し、生体システムにおけるRNA修飾の役割を分子レベルで解析することを目的とする。 1. 抗RNA抗体の単離と結合特異性の確認 ファージディスプレイ型の人工抗体ライブラリーから、RNA(U1snRNA,28SrRNA)を認識する抗体を単離した。選別された抗体の特異性をELISA法により確認した。これら抗体クローンの配列を解析した結果、相補性決定領域のCDR3は新規の配列であることがわかった。さらに、得られた抗体配列をIgG発現用ベクターに組込み、RNAに対するIgG抗体を得た。ELISAによる測定で、ファージが提示する一本鎖抗体よりもIgG化することで抗原に対する結合力が高くなることを確認した。 2. rRNA修飾欠損モデルの作制と修飾の定量解析 ゼブラフィッシュを用いてrRNAの修飾に働くディスケリン(DKC)、および個別の修飾をガイドする遺伝子(SNORD26,SNORD44)の発現抑制胚を作製した。これら胚からrRNAを精製し質量分析装置を用いて修飾部位の定量を行った。DKCとSNORD44の発現抑制胚では有意な修飾阻害は検出されなかった。DKCが欠損してすべての修飾が失われると、異常RNAとして分解を受けていると考えた。SNORD26の発現抑制では、この遺伝子にガイドされる修飾が特異的に低下することを確認した。
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