2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20200071
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 聡 Kumamoto University, 発生医学研究センター, 助教 (10321944)
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Keywords | 生殖細胞 / WNTシグナル / Ifitm1遺伝子 / Ifitm3遺伝子 / 全胚培養系 / 微小環境 / 再生医療 / 生殖医学 |
Research Abstract |
生体の生殖巣内における新たな生殖細胞誘導法の開発を目指し、まず、マウス始原生殖細胞(Primordial germ cells, PGC)の形成に重要な微小環境に必要な因子の探索を進めている。これまでマウスPGCの形成には、Bmpシグナルが重要な働きを果たしている事が報告されている。例えばBmpシグナルに依存してPGC前駆細胞マーカーであるPdrm1やIfitm3の発現が誘導されることがBmp4^<-/->胚を用いた解析から示されているが、我々は、このBmpシグナル非依存的にPGC形成が阻害されているミュータントマウスを見いだした。このミュータントマウスでは、Bmpシグナルの下流遺伝子群には、大きな異常は認められないが、canonical Wntシグナルの下流遺伝子群は、調べた限りすべてその発現が減弱していた。そこで、canonical Wntシグナル活性が低下しているWnt3^<-/->を用いてPGCの形成について解析を行なった結果、Pdrm1陽性のPGC前駆細胞集団は形成されていなかった。また、予備的な実験からは、先のBmpシグナル非依存的にPGC形成が阻害されているミュータントマウス胚をWnt3a存在下で培養すると、少なくともPrdm1遺伝子の発現減弱が回復する傾向が観察された。これらのことから、マウスPGC前駆細胞の誘導には、Bmpシグナルばかりでなくcanonical Wntシグナルが必要であり、おそらくcanonical Wntシグナルは、Prdm1のPGC前駆細胞での活性化の誘導と、その後のPGC前駆細胞の細胞塊形成に重要な働きを担っていると考えられる。今後、この生殖前駆細胞の細胞塊形成機構とその作用機構を解明していくことにより、生殖細胞誘導に必要な環境因子の同定が可能となると考えられる。
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