2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20200073
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
藤室 雅弘 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20360927)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 創薬 / がん / 抗ウイルス剤 / ヘルペスウイルス / 核酸代謝拮抗薬 / KSHV |
Research Abstract |
本研究は、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)によって発症するB細胞性リンフォーマ(PEL)に対する抗腫瘍化合物とKSHVのウイルス複製を阻害する抗KSHV化合物の開発を目的としている。我々は既に、KSHV感染特異的にがん細胞に対して殺細胞活性を示す抗腫瘍化合物CNDAGとその誘導体類を開発した。CNDAGは、アシクロビル(ACV)のプリン塩基と抗腫瘍化合物CNDAC(リボース部のシアノ基によりDNA鎖切断反応を生じる)のリボース部のハイブリッド化合物である。今回、我々は抗腫瘍化合物CNDAGの抗ヘルペスウイルス活性を解析し、さらに、新規な抗KSHV化合物と抗PEL化合物を探索し、その作用機序を解析した。 CNDAGと一部の誘導体は、単純ヘルペスウイルス(HSV-1とHSV-2)に対してACVと同程度の抗ウイルス活性(IC50は10-5μM)を示し、水痘帯状庖疹ヘルペスウイルス(VZV)に対しては顕著な抗ウイルス活性は示さなかった。また、CNDAGは、KSHVとサイトメガロウイルス(CMV)に対してはガンシクロビルと比較して、5-10倍強い抗ウイルス活性を有していた。CNDAGのCMVとKSHVに対するIC50は0.5μMと0.05μMであった。 次に、我々は抗KSHV活性とPELに対する抗腫瘍活性を有する化合物を探索した結果、KSHVの複製阻害活性を持つ抗KSHV化合物としてソリブジンとバルプロ酸を同定し、また、KSHV感染PELに対して細胞増殖阻害活性を有する抗PEL化合物としてサンギバマイシンとフラーレン誘導体を見出した。さらに、サンギバマイシンは腫瘍細胞内のMAPK経路を阻害し、フラーレン誘導体はChk2経路を活性化してKSHV感染PEL細胞にアポトーシスを誘導していることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)