2009 Fiscal Year Annual Research Report
安全性の高い人工多能性幹細胞の作製とその再生医療への応用
Project/Area Number |
20200076
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
川端 健二 National Institute of Biomedical Innovation, 基盤的研究部遺伝子導入制御プロジェクト, サブプロジェクトリーダー (50356234)
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Keywords | 発生生物学 / 再生医学 |
Research Abstract |
近年樹立された体細胞由来の多能性幹細胞、いわゆるinduced pluripotent stem (iPS)細胞は損傷した細胞・組織を修復する再生医療への応用が期待されている。iPS細胞を医療応用するには、iPS細胞を目的の細胞へ選択的に分化誘導する技術の確立が必要である。我々はこれまでにアデノウイルス(Ad)ベクターを用いてマウス胚性幹(ES)細胞や間葉系幹細胞へ効率良く分化関連遺伝子を導入することにより、目的の細胞への高効率分化誘導に成功している。まず、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターおよびアデノウイルスベクターの3種類のベクターを用いて、ヒトiPS細胞の作製を試みた。その結果、レンチウイルスベクターを利用した場合の作製効率が最も高く、その作製効率は各ベクターの遺伝子導入効率を反映しているものと推測された。特に、アデノウイルスベクターを利用した場合には、遺伝子発現を維持する為の改良が必要であることが示唆された。次に、マウスiPS細胞から血液前駆細胞・脂肪細胞・骨芽細胞への高効率分化誘導を試みた。CAプロモーターを有するAdベクターを用いてHoxB4遺伝子、PPARγ遺伝子、Runx2遺伝子を導入したところ、従来の液性因子のみを用いる分化誘導法よりも効率良く血液前駆細胞、脂肪細胞、骨芽細胞に分化することが明らかとなった。これらの結果から、我々のAdベクターによる遺伝子導入システムは、iPS細胞を含む幹細胞の効率的な分化誘導に有用であることが示された。
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