2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内細菌処理機構からみた腸管粘膜免疫システムの解明と炎症性腸疾患治療への応用
Project/Area Number |
20200080
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 詠 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00232546)
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 粘膜免疫 / 腸内細菌 / オートファジー / マクロファージ / 自然免疫 / クローン病 / 細胞内寄生菌 |
Research Abstract |
慢性炎症性腸疾患であるクローン病は、腸管に備わった特異な粘膜免疫防御システムによって保たれている恒常性が破綻することが病態の本態であるとこれまでの研究により考えられている。我々は「腸管Mφ内での処理異常による活性化のトリガーが細胞内寄生菌ではないか」という仮説をたて、腸内フローラおよび腸管粘膜、粘膜内Mφを分子生物学的に解析することにより細胞内寄生菌の関与を明らかにするとともに、クローン病患者Mφでのオートファジー機能異常と細胞内寄生菌に対するMφの反応異常について明らかとする、さらにはこの腸内細菌の処理異常をターゲットとした炎症性腸疾患に対する新しい治療法を開発することを目的として研究を進めた。 まず、MCP-1依存性腸管Mφの恒常性維持における重要性を検討したところ、正常マウス腸管粘膜内(LP)Mφはflowcytometryの解析から2つの分画に分かれ(LP Mφ-1、2)、MCP-1欠損マウスではLP Mφ-2分画の減少が認められた。このLP Mφ分画はIL-10高産生型であり、MCP-1欠損マウスではDSS腸炎誘発時にこのLP Mφ-2分画のホーミングが傷害されており腸炎が増悪すること明らかとなり、腸管M□の新たな機能と考えられた。 つぎにIL-10欠損(KO)マウスのLP MφにおけるIL-23過剰産生のメカニズムを解析した。IL 10 KOマウスのMφからのIL-23過剰産生には病原体関連分子パターン(PAMPs)よりも腸内細菌刺激が重要であり、特に菌体を貪食したのちのSTAT-1を含めたシグナル伝達が重要であることを明らかとした。これらの結果より、腸管Mφの機能異常がクローン病の病態において本質的な役割を果たしていることが明らかとなった。また、CD14陽性腸管Mφから産生されるIL-23が、クローン病の腸管炎症において重要な役割を担っていることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)