2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20221005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 耕三 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (00232439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦山 健治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (20263147)
横山 英明 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (80358316)
酒井 康博 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (30401235)
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Project Period (FY) |
2008-05-12 – 2013-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / 高分子合成 / ナノ材料 / 超分子化学 |
Research Abstract |
これまでの研究で、環動ゲルのスライドのダイナミクスを、粘弾性測定で得られるスライディング転移の緩和時間から評価でき、既存の架橋高分子材料にはない、環の配置エントロピーを起源とする弾性を示す状態(スライディング状態)の存在について明らかにした。本年度はまず、様々な骨格高分子や環状分子を有する環動ゲルと、溶媒を含まない環動エラストマーを用いて、スライディング転移の普遍性について調査した。ポリブタジエン骨格以外にもポリエチレン骨格の環動ゲルでも同様にスライディング緩和が観測され、環状分子の官能基を変えても同様であったことから、スライディング転移は環動ゲルにおいては普遍的な現象であることが示唆された。また、環動ゲルのスライディング状態における弾性についても系統的な力学測定を行った結果、環動ゲルのヤング率は、架橋密度に弾性率が比例する化学ゲルとは大きく異なり、架橋密度に対して非常に弱い依存性を示した。また、応力-歪み曲線の解析から、歪みが大きくなるとゴム状態と同じ弾性率を示すことがわかった。一方、環動エラストマーではスライディング転移は観測されなかったが、平衡状態がスライディング状態であることが示唆された。つまり、環動ゲルの力学物性は、高分子鎖と環状分子のそれぞれのエントロピー弾性の競合の結果であり、既存の架橋材料とは全く異なる材料設計が可能であることを明確に示している。そこで、これまでの研究で構築された、多様な骨格および環状分子を有するポリロタキサンの合成技術をもとに、環サイズの異なる環動ゲルや、骨格に立体障害を導入した環動ゲルを用いて、スライドダイナミクスの制御を試みた。その中でも環サイズを変えることで、3倍以上の緩和時間変化を引き起こすことに成功し、環状分子と骨格高分子との相互作用あるいは立体障害を設計することで、環動ゲルのダイナミクスが制御できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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