2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20224002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梅村 雅之 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70183754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 耕司 筑波大学, 数理物質系, 講師 (70451672)
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Keywords | 宇宙第一世代天体 / 銀河形成 / 銀河進化 / 宇宙暗黒時代 / 輻射流体力学 / 輻射輸送 / 並列計算機 / 専用計算機 |
Research Abstract |
銀河中心には10^6から10^9太陽質量の巨大ブラックホールが存在するが,その起源は明らかにされていない。冷たいダークマターモデルに基づく階層的録河形成シナリオでは,銀河はより小さな銀河の合体によって形成されるため,合体後の銀河には複数の巨大ブラックホールが存在することになるが,これは銀河中心に巨大ブラックホールが一つ存在するという観測事実と合致しない。我々は1つの銀河の中に取り込まれた複数の巨大ブラックホールがどのように進化するかを,宇宙シミュレータFIRSTを用いた高精度N体計算によってシミュレートした。その結果,銀河に取り込まれた巨大ブラックホールは星との力学的摩擦によって銀河中心に落ちて行き,ブラックホール3体相互作用の効率が増し,結果としてブラックホールの連続的合体成長によって中心に一つの巨大ブラックホールが形成されることを明らかにした。これは,FIRSTを1年近く占有して得られた成果である。 また,ライマン・アルファ輝線天体について,これまで行った高精度流体計算による原始銀河のシミュレーション結果を用い,ダストの効果を入れた3次元輻射輸送計算を行うことにより,高赤方偏移天体の光学的特性について調べ,サブミリ波での検出可能性を解析した。結果として,ALMAを用いることで,形成期の銀河をサブミリ波で検出することが可能であることを示した。 さらに,これまでの格子法流体力学をベースにした輻射輸送計算コードをツリー構造で加速することに成功し,加速型輻射輸送コードARGOTを開発した。このコードによって,銀河内の星からの輻射性フィードバックを入れたシミュレーションが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一世代天体形成,原始銀河形成,原始銀河における巨大ブラックホールの合体成長過程の研究は順調に進んでいる。特に,巨大ブラックホールの合体成長に関しては,宇宙シミュレータFIRSTを用いた特長時間計算によって,これまでにない新たな知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,計画通り研究を進める予定である。(1)第一世代天体形成と連続的星形成,(2)背景紫外線輻射場中の原始銀河形成,(3)紫外線輻射場内の球状星団形成,(4)原始銀河における巨大ブラックホールの合体成長,(5)銀河中心核活動による銀河進化へのフィードバックについて,これまでに得られた重要な成果をさらに発展させる計算を行い,当該課題の最終年度として,成果の取りまとめを行う。
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