2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20224008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 祐司 京都大学, 理学研究科, 教授 (50199816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝内 孝禎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00251356)
寺嶋 孝仁 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
石田 憲二 京都大学, 理学研究科, 教授 (90243196)
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Keywords | 重い電子系 / 異方的超伝導 / 人工超格子 / 強結合超伝導 / 隠れた秩序 / 磁気トルク / 鉄系超伝導体 / ネマティック状態 |
Research Abstract |
本年度、我々は重い電子系超伝導体CeCoIn5と、類似した結晶構造を持ち金属であるYbCoIn5の人工超格子を作製した。YbCoIn5の厚みを5層に保ち、CeCoIn5の厚みを10層から1層まで変化させて、輸送特性を詳細に調べた。その結果CeCoIn5は一層の厚みを持つものでも超伝導を示すことを発見した。これは初めての2次元近藤格子における超伝導の実現である。さらに我々は超伝導状態の磁気-温度相図を人工超格子において調べたところ、原子層単位の厚みを持つCeCoIn5では超伝導に寄与する結合力が非常に強くなっていることを発見した。特に超伝導ギャップの大きさと超伝導転移温度の比が10を超え、従来型の超伝導体の3倍以上の強結合状態が生じていることを明らかにした。重い電子系化合物URu2Si2は、18Kにおいて比熱の大きな飛びを伴う2次相転移を示し、2Kにおいて超伝導転移を示す。この18Kにおける相転移以下の温度では、磁気秩序も構造相転移も示さず、低温相は[隠れた秩序」相とも呼ばれ、その招待は4半世紀の謎であった。我々は、磁気トルクを超高感度で測定する装置を開発し、トルクの面内磁場回転異方性の測定を行った。その結果、隠れた秩序相においては電子構造が結晶の4回対称性を破った2回対称性が生じていることを明らかにした。これにより、4半世紀の謎である「隠れた秩序」状態における対称性の破れを発見し、この謎を解く鍵、つまり隠れた秩序相は電子ネマティック相であることを示した。我々は同じ測定装置を持ちいて鉄系高温超伝導体においても電子ネマティック状態が存在することも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予想を大きく超えた強結合超伝導状態をつくり出すことに成功しただけでなく、4半世紀の謎であった隠れた秩序を解明することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究をそのまま推進し、新奇超伝導状態の創成をさらに継続してゆきたいと考える。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Extremely strong-coupling superconductivity in artificial two-dimensional Kondo lattices2011
Author(s)
Y. Mizukami, H. Shishido, T. Shibauchi, M. Shimozawa, S. Yasumoto, D. Watanabe, M. Yamashita, H. Ikeda, T. Terashima, H. Kontani, and Y. Matsuda
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Journal Title
Nature Physics
Volume: 7
Pages: 849-853
DOI
Peer Reviewed
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