2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジェット識別測定によるクォーク・グルーオンプラズマ物性の研究
Project/Area Number |
20224014
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三明 康郎 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10157422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江角 晋一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10323263)
中條 達也 筑波大学, 数理物質系, 講師 (70418622)
稲葉 基 筑波技術大学, 産業技術部, 准教授 (80352566)
濱垣 秀樹 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90114610)
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Keywords | クオーク・グルーオンプラズマ / 相対論的重イオン衝突 / パートン |
Research Abstract |
RHIC実験からQGP生成の確証を掴み、QGP物性の理解のフェーズに移りつつある。QGP物性の理解に最も直接的な測定は、ジェット変調効果の観測である。我々はRHICのデータ解析を推進すると共に、LHC-ALICE共同実験でのジェット識別測定を強化するカロリメータを提案し、本経費によって推進している。我々が提案した新たな電磁カロリメータ(Di―jet Calorimeter;DCal)は、日本、米国、フランス、イタリア、中国の各研究機関よりなる国際協力研究である。この国際協力の実現によって、本経費当初計画でカバーしうる4倍の立体角の検出器が建設可能となり、測定可能なジェットのエネルギー範囲を拡大することができることとなった。平成21年度~22年度には、各国の研究者と協力して電磁カロリメータの建設を進めた。平成22年度では、我々が製作を分担している検出器分の部品購入を完了し、平成22年10月からは筑波大学において部品の組立てを開始した。平成23年2月には全数の1/3をフランス・ナントに輸送した。また同時に1/3の部品をイタリアに送り、現地に2名を派遣し、組み立てを完了した。平成23年7月には、残り1/3の検出器組み立てを完了し、フランスに輸送した。これによって筑波大分担の検出器製作が完了した。平成23年8月~9月では、筑波大から4名(スタッフ2名、大学院生2名)をフランス(Subatech Nantes,及びLPSC Grenoble)に派遣し、検出器スーパーモジュールの組み上げを行った。組上げた検出器は、2012年末から2014年にかけて、ALICE実験エリアに全数インストールする予定である。またALICE実験では、鉛衝突や陽子衝突の実データが順調に取得されている。これらのデータを使ったジェットの解析を推進しつつ、新たなカロリメータによるジェット測定に備える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響はあったものの、平成23年7月までに筑波大分担分の検出器製作を終了し、フランス(Subatech Nantes,及びLPSC Grenoble)においてスーパーモジュールの組み上げを行い、インストール可能な形にすることができた。RHICとLHCの2つのエネルギー領域におけるジェットに係る物理解析を実施し、論文発表、学会報告等を行った
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が提案したジェット識別測定器が米国、フランス、イタリア、中国の5カ国共同のDCa1プロジェクトに成長し、本経費のみの場合に比べて、4倍の規模の測定器となった。4倍量の部品調達、震災、LHC加速器運転の遅れにより、当初計画調書にくらべて遅れることとなったが、当初計画以上の規模で順調に推移している。
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