2010 Fiscal Year Annual Research Report
長大測線統合的地震探査による中部日本地殻構造とアクティブテクトニクスの解明
Project/Area Number |
20224016
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 谷生 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50111448)
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Keywords | 中部日本 / テクトニクス / 地殻構造 / 活断層 / 地震探査 / フィリピン海プレート |
Research Abstract |
最終年度である22年度の研究は次の3点にまとめられる。 第1に、20年度に実施された南-中央アルプス横断深部探査、ならびに21年度に実施された北美濃探査のデータに対してMDRS (Multi-DipReflectionSurface)法などの高度化処理を行った。このことによって深部構造のイメージングが格段に改善され、解釈作業に耐える構造断面を作り上げることができた。 第2に、作成された構造断面の正当性を検証するために、西南日本の標準的な地殻構造断面(伊藤・佐藤,2010)が中部日本における日本列島屈曲+伊豆弧衝突による変形によって南-中央アルプス構造断面に到達することが可能かどうかの数値実験を行った。その結果、(1)赤石構造線による左横ずれ、(2)曲げ+不均質単純剪断、という合理的な変形プロセスによって可能であることが明らかとなった。これにより、南-中央アルプス構造断面とその解釈は正当であると判断された。 第3に、北美濃断面中の顕著な3つの反射層(往復走時数秒までのRU、10秒から北東傾斜で13秒くらいまで続くRM、さらにその2秒ほど下位のRL)の構造的位置を推定するために爆破地震動グループなどがこれまでに行って来た周辺の地震探査結果を反射法的に再処理した。その結果、RUは上部地殻内反射層、RMは下部地殻、RLはフィリピン海プレートに対応すると判断された。 以上の結果は、中部日本のテクトニクスがフィリピン海プレートの形状と運動に直接に支配されていることを強く示唆している。このことは従来の支配的見解の変更を迫るものとして、3年間にわたる本研究の成果となろう。
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Research Products
(4 results)