2009 Fiscal Year Annual Research Report
クロス及びマルチカップリング反応の高効率触媒系の構築と高度制御
Project/Area Number |
20225004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (60144432)
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Keywords | ハロゲン化アルキル / Pd触媒 / クロロシラン / アリルシラン / Ag触媒 / Ni触媒 / チタノセン触媒 |
Research Abstract |
ハロゲン化アルキルとグリニャール試薬とのクロスカップリング反応において、ビスアリルNi錯体の触媒能を検討し、合成化学的応用面の展開を図った。その中で、ブタジエンを添加剤とする反応系について官能基選択性を明らかにした。また、ビスアリルNi錯体として最も単純な(C3H5)2Niを用いると、低温下でもクロスカップリンが効率よく進行し、官能基としてメチルケトンユニットを有する基質にも適用できることを明らかにした。これらの知見を踏まえ、アルキル鎖を有する天然物合成への応用およびその類似体の合成への展開を開始した。また、種々のアリール基を有する鉄錯体を合成し、ハロアルカン類のクロスカップリング反応の触媒として機能し得る可能性を示した。コバルト錯体を用いる、アルキル基クロスカップリングに付いても検討し、コバルト系で一般的なラジカル機構ではなくイオン機構で反応が進行している可能性が高いことを明らかにした。更にNi錯体を用いる、ハロゲン化アルキル、有機金属試薬、アルキンル類の3成分カップリング反応や、銀触媒を用いるアルキンへのアルキル化反応を開発した。更に、1,2-ビスチオカルボニル化合物、ビスアミド化合物、テトラエン類を合成し、配位子としての可能性を検討した。また、カルコゲン化合物を基質とする反応として、チオエステルやチオアミド、ならびに対応するセレン・テルル化合物とアルキンおよびアレンとの反応を検討した。その結果、PdやPtを触媒とする、分子間ならびに分子内付加反応を開発した。更に、同様の付加反応がラジカル中間体を経ても進行することを明らかにすると共に、この反応では位置選択制が、触媒反応と異なることを明らかにした。
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