2011 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界法による有機無機ハイブリッドナノ粒子合成・化工熱力学と単位操作の確立
Project/Area Number |
20226015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿尻 雅文 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (60182995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名嘉 節 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主席研究員 (30344089)
有田 稔彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50423033)
南 公隆 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (80415794)
高見 誠一 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40311550)
梅津 光央 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70333846)
北條 大介 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (30511919)
冨樫 貴成 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 産学官連携研究員 (80510122)
青木 宣明 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (90437244)
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Keywords | 薄膜 / 微粒子形成操作 |
Research Abstract |
ナノ粒子の表面修飾技術を開発することにより、溶媒と親和性の高いナノ粒子を合成することが可能となった。高濃度の分散液を実現することが可能であるが、その粘性は極めて低く、ニュートニアン流体としての性質を示した。その理由は、溶媒とナノ粒子との間の親和性が高いためであると考えている。この親和性制御を高分子にも適用することで、ハイブリッド材料特性を発現させることに成功している。また、高熱伝導材料合成については、親和性制御により通常ナノ粒子を高濃度で分散させると生成していた空隙の生成が抑制され、また成形加工に必要な粘性を極端に低減できたため、高濃度充填が可能となった。これにより、従来4W/m/Kが上限と言われていた高熱伝導ハイブリッド材料についても、40W/m/Kを超える性能を発現できた。 さらに、ナノ粒子が通常の分子と同様に振る舞うことから、ナノ粒子の凝集、分散挙動を相平衡と同様に扱うことにチャレンジした。温度、溶媒、濃度を変えて、ナノ粒子―溶媒系の相平衡の測定を行った。ナノ粒子―溶媒間の相互作用に関しては、湿潤熱測定を行った。高分子系で用いられるPVT測定をナノ粒子にも適用した。その結果を高分子系に適用される状態方程式で記述することで熱力学物性値を評価した。この物性値を用いることで、状態方程式のみで、相平衡挙動が予測できることを示した。従来、粉体を連続体として扱う学理は無かった。これが新たなナノ粒子系の熱力学への発展しうる基盤ができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)超臨界水反応を用いたナノ粒子合成 in situ 表面修飾技術の開発により有機修飾が可能となり、溶媒との親和性をコントロールできるようになった。高濃度60wt%に有機溶媒中にナノ粒子を分散させることができ、しかも、この分散液の粘性は極めて低く、ニュートニアン流体としての性質を示す。これは、今までにないほど高い界面親和性により発現したものと考えている。 2)ナノ粒子が通常の分子と同様に振る舞うことから、ナノ粒子の凝集、分散挙動を相平衡と同様に扱うことに挑戦した。温度、溶媒、濃度を変えてナノ粒子―溶媒系の相平衡の測定を行い、ナノ粒子―溶媒間の相互作用に関しては、湿潤熱測定を行った。高分子系で用いられるPVT測定をナノ粒子にも適用した。その結果を高分子系に適用される状態方程式で記述することで熱力学物性値を評価した。この物性値を用いることで、状態方程式のみで、相平衡挙動が予測できることを示した。従来、粉体を連続体として扱う学理は無かった。これが新たなナノ粒子系の熱力学への発展しうる基盤ができたと考えている。 3)超結晶創成ナノ粒子の界面制御が可能となったことで、様々なナノ粒子結晶の創成が期待されるようになった。ナノ粒子間、ナノ粒子―基板間の相互作用を制御することで、ナノ粒子2次元膜の制御が可能となる。従来、ナノ粒子の配列のみであったが、基板への固定化も可能となった。ジカルボン酸のような両官能分子を用いたところ、ナノ結晶の3次元結晶形成が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
既に、高い触媒活性や3次元結晶複合体の創成など、当初の計画を超える質の高い成果が得られている。それは、共同研究者の枠を超えて他分野の先生方との連携が図れたためと考えている。 今後は、さらに先生方との連携を図ることで、新規分野創成を図る。すなわち、1)新規機能発現については、当初予定していた磁性物性の専門家に加え、触媒分野の専門家との連携も推進する。2)相平衡、PVT測定等の熱力学の専門家に加え、数学研究者の協力を得て新たなナノ粒子系熱力学の創成を図る。3)ナノ粒子の3次元自己組織化構造については、高分解SEM技術者との連携をさらに進め、最終的には、新規学術分野の創成をはかる。4)単位操作の確立の研究については、装置開発が進んでおり、最終年度までには、そこからプロセス設計基盤となる学術の抽出を図りたい。
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Research Products
(20 results)