2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20226016
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福岡 淳 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80189927)
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Keywords | バイオマス / 地球温暖化ガス排出削減 / 再生可能エネルギー / 環境技術 / 触媒・化学プロセス / セルロース / ソルビトール / ヘミセルロース |
Research Abstract |
本年度はまず、多糖類水素化分解のための触媒系を検討し、セルロースを水素化分解して糖アルコールを効率的に合成可能かつ耐久性の高い触媒の開発を行った。その結果、安価なカーボンブラックBP2000に白金を担持した触媒を用いると、糖アルコール(ソルビトールとマンニトール)を収率60%で合成でき、また繰り返し使用可能であることを見出した。次に、水素化分解触媒系をヘミセルロース含有の実バイオマスに適用した。本反応系ではRu/活性炭触媒が高い活性を示し、C5糖アルコールであるアラビトールを収率83%で合成できた。さらに、高圧水素ガスの替わりに2-プロパノールを用いたセルロースの移動水素化反応を実施したところ、Ru/活性炭触媒が最も高い活性を示し、糖アルコールを収率43%で合成できた。 次に、セルロース加水分解のための触媒系を検討した。メソポーラス炭素CMK-3にルテニウムを担持した触媒がセルロースの加水分解に活性を示し、わずか15分間の反応でグルコースを収率31%で合成できることを見出した。反応機構の検討により、CMK-3にも加水分解活性があり、セルロースから主にオリゴ糖を生成し、さらにルテニウム種がオリゴ糖の加水分解を促進してグルコースを生成することを明らかにした。CMK-3上のRu種のキャラクタリゼーションを実施し、粒子径1nmのRuO_2・2H_2Oであることを明らかにした。さらに、ルテニウムが4価と高原子価であるため、ルイス酸性を発現することを提案した。 最後に、セルロース加水分解物からの生分解性プラスチックの合成を行った。担持ルテニウム触媒系により生成したセルロース加水分解物を、微生物による生分解性プラスチック(ポリ(3-ヒドロキシ酪酸))合成に使用した。その結果、純粋なグルコースを用いた場合と遜色のない品質のポリ(3-ヒドロキシ酪酸)を合成できることが分かった。
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