Research Abstract |
本研究プロジェクトの4年度目であった2011年度は,これまでマイクロリングプロセッサにおける光フリップ・フロップ用レーザとして理論的に検討し設計してきた,マイクリロングSOAおよびループミラーで構成される一方向性発振リングレーザの試作を行った.しかし,残念ながら発振は得られなかった.そこで,その原因について検討するため,リングレーザと同じエピウエハを用いて各種の導波路幅を有するハイメサ直線導波路レーザを,誘導結合プラズマ(ICP)ドライエッチング装置により試作し,その発振特性の評価を行った.その結果,ドライエッチングによるハイメサ導波路の側壁ダメージの影響が予想以上に大きく,これまで試作してきた1.5ミクロン以下のハイメサ導波路では,十分な利得が得られないことが明らかになった.同じエピウエハを用いたリッジ直線導波路の端面放射レーザも試作し,導波路幅とレーザ発振特性の関係について検討した.そして,2ミクロン以上に導波路幅を広くすれば発振を得られる事が判明したため,導波路幅2ミクロンのハイメサ導波路,およびリッジ導波路ではを有するマイクロリングー方向発振リンレーザを設計した.2012年度はこのデバイスの発振特性を明らかにするとともに,波長フィルタと集積化した全光フリップ・プロップ動作の実証を行う予定である. 一方,アクティブマイクロリング共振器を有する全光論理ゲート素子については,その論理動作特性の理論的検討を詳細に行い,単-アクティブマイクロリングにおいて,適切な入力波長および入力パワーを設定することにより,インバータ動作,波長変換動作,OR,XOR,AND演算の超低パワー動作が可能であることを示した.2012年度は,この結果に基づき,マイクロリング全光論理ゲート素子の作製および動作実証を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時点でのスケジュールで予定していたマイクロリングSOA,マイクロリングレーザの動作実証に至っていないので,当初の目標に対して研究はやや遅れている. この研究の遅れは,多くのデバイスパラメータの値を広い範囲で変えて設計したためにフォトマスクの設計に予想以上の時間を要したことと,平成22年度後半に完成したデバイスの電極厚さが不足して電流が流れなかったこと,ドライエッチングによる導波路の損傷が予想以上に大きかったことによるものである.これらの問題点については,ほぼ解決の見通しが立ったので,マイクロリングレーザのレーザ発振と波長チャネルを用いたフリップフロップ動作,およびマイクロリングSOAよる超低電力全光論理ゲートの実現など,今後大きな成果が期待できる.したがって,「やや遅れている」と判断した.今後は目標の実現に向けて努力を続ける.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,平成23年度の研究成果に基づき,2ミクロン以上に導波路幅を広くしたハイメサ導波路,およびリッジ導波路を有するアイクロリングレーザを試作し,その発振特性を明らかにするとともに,波長フィルタと集積化した全光フリップ・フロップ動作の実証を行う.また,上記レーザと同様の導波路構造を有する単一マイクロリング共振器SOAによる全光論理ゲート素子の試作も行う.マイクロリングSOAの共振効果による自己位相変調,相互位相変調の増幅効果の実証を行うとともに,1波長または2波長の光入力に対する低パワーインバータ動作,波長変換動作,OR,XOR,ANDなどの演算動作を実証する.これらのデバイスは,作製の容易性を考慮し,マイクロリング・バスライン間の結合導波部も含めて,縮小投影露光を用いたフォトリソグラフィおよびICPドライエッチング装置を用いて作製する.
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