2011 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体光定位運動における新規アクチン構造の機能解析
Project/Area Number |
20227001
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 正三 九州大学, 大学院・理学研究院, 特任教授 (60011681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 明雄 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60152758)
鐘ヶ江 健 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (70264588)
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Keywords | 葉緑体 / 葉緑体運動 / CHUP1 / cp-actin繊維 / THRUMIN1 / OEP7 / 青色光 |
Research Abstract |
葉緑体は弱光には集まり(集合反応)、強光からは逃避する(逃避反応)。我々はシロイヌナズナにおいて、青色光受容体フォトトロピンが葉緑体外包膜上に存在するCHUP1タンパク質を介して葉緑体と細胞膜間に存在するアクチン繊維(cp-actin繊維)を制御することによって、葉緑体の移動方向や速度が調節されていることを明らかにしてきた。本年度は、cp-actin繊維による葉緑体運動の推進力発生機構の解明のため、外包膜上に存在するタンパク質をOEP7-YFPで可視可し、外包膜の伸長と葉緑体本体(葉緑素の蛍光部位)の移動速度の相関関係を調べた。その結果、葉緑体の移動方向先端部の外包膜は、葉緑体本体の移動に先だって伸長し、その後葉緑体本体が追従していた。このことは葉緑体外包膜に結合するCHUP1及びcp-actin繊維が葉緑体に先だって移動するため外包膜が伸展し、外包膜に掛かる張力によって葉緑体本体が牽引されたと解釈された。次に葉緑体光定位運動に関わるアクチンフィラメント架橋タンパク質であるTHRUMIN1(Whippo et al.2011)のcp-actin繊維との関係、葉緑体運動への関与について解析した。THRUMIN1-GFPは膜結合タンパク質として細胞膜上に存在するが、フォトトロピン依存的に青色光によって葉緑体膜上に移行する。thrumin1欠損変異体ではcp-actin繊維の重合が抑制されること、chup1欠損変異体ではTHRUMIN1が光依存的に細胞質アクチン繊維には結合するが葉緑体外包膜への集合やcp-actin繊維が全く観察されことから、THRUMIN1はCHUP1が重合するcp-actin繊維の制御に関わっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cp-actin繊維の挙動、cp-actin繊維の重合に関与するCHUP1タンパク質の解析、CHUP1タンパク質に結合する因子の選抜、cp-actinの重合に先立つ既存のcp-actin繊維の消失の詳細な解析などが研究課題で提案した内容は順調に進んでいる。また、申請時には発見されていなかったTHRUMIN1タンパク質が海外の研究者によって発見されたが、我々の視点で解析し、その重要性も明らかになって来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
Cp-actin繊維の機能解析に対して最も重要なのは、cp-actin繊維の重合機構である。その解析のためにはcp-actin繊維の重合・維持に関与するCHUP1,KAC1,KAC2、おそらくはTHRUMIN1も含めたCHUP1複合体の解析が必須であり、本年度はCHUP1複合体の単離と複合体を構成するタンパク質因子の決定を目指す。研究の変更や問題となる点はない。
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Research Products
(11 results)