2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20228002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 陽夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20157639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲川 清隆 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80361145)
都築 毅 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (00404848)
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Keywords | 過酸化脂質 / 疾病 / 食品 / 生理活性 / 分析法 / 脂質ヒドロペルオキシド |
Research Abstract |
生体に生じる過酸化脂質の精密構造解析、高純度標品の合成、過酸化脂質分析法の抗体作製による汎用化、細胞障害・疾病の発生への過酸化脂質の分子機構の解明、食品成分による過酸化脂質の生成制御と疾病予防、こうした「生体過酸化脂質と疾病の全貌解明」を目的に、下記の研究を進めた。 (1)ビニルエーテル化合物による高純度で安定な過酸化脂質標準品の調製技術の改善と統一標準品の内外研究者への供給では、種々の脂質クラスのヒドロペルオキシド標準品の調製技術を開発し、今年度は、このヒドロペルオキシド標準品を原料とした還元物(脂質ヒドロキシド)の高純度標品の調製技術をほぼ確立した。 (2)LC-MS/MSによる生体試料の全過酸化脂質の一斉網羅的構造解析による分子種レベルでの構造全貌の解明と過酸化脂質データベースの充実では、全過酸化脂質の網羅的解析条件を確定し、動脈硬化、糖尿病、認知症における酸化ストレスを最も鋭敏に反映できる過酸化脂質は生体膜リン脂質由来の過酸化脂質(過酸化リン脂質)であることを確認した。現在、過酸化リン脂質の分子種別にデータベース化を進めている。 (3)臨床応用できる簡便で選択性の高いヒドロペルオキシド型過酸化脂質の免疫定量法の開発では、抗血清を得たものの、昨年度同様、高選択性な抗体は得られなかった。抗体作製は運次第の面もあるため、来年度も挑戦し、簡便かつ選択性の高い免疫定量法の開発を目指す。 (4)抗過酸化脂質抗体による細胞内過酸化脂質の可視化イメージング技術の開発は、(3)で抗体ができ次第取り組む。 (5)高脂血症、糖尿病、認知症における過酸化脂質の生理活性と関与分子機構の解明では、疾病モデル動物を用いて過酸化脂質の蓄積を確認し、この脂質過酸化に関わりが深い遺伝子を幾つか明らかにした。 (6)高血糖下で発見されたアマドリ型糖化脂質の簡便な免疫定量法の開発と応用では、免疫定量法の開発を進めるとともに、脂質グリケーションを抑えるピリドキサールリン酸を見出し、その作用を動物実験で確定した。 (7)食品成分による過酸化脂質の生成と蓄積の制御による疾病予防の可能性の評価では、共役トリエン型脂肪酸の脂質過酸化誘発を介する抗血管新生作用は、血管内皮細胞のシグナル伝達に深く関わることを確証した。 このように、ほとんどの課題で研究は順調に進んだといえる。
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Research Products
(39 results)