2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報科学・計算機科学における描像の可視化に関する研究
Project/Area Number |
20240020
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 真人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)
|
Keywords | 情報統計力学 / 可視化 / 次元圧縮 / クラスタリング / 大規模データ |
Research Abstract |
本研究の目的は,経験や学習から形成されるヒトの心の中の描像(picture)を,数値計算や計測のデータから客観的手法で抽出・可視化する手法を研究することである.具体的には,情報科学と計算機科学での描像を,物理学のスピン系で発展した手法を用いて抽出・可視化する.H21年度は,連想記憶モデルとマルコフランダムフィールドモデル(MRF)に関して研究した. 脳の記憶のモデルである連想記憶モデルは,誤り訂正符号や無線通信のCDMAと数理的に関連も深く,本研究課題のテストベッドとなるモデルである.連想記憶モデルの性質を調べる手法として,交換モンテカルロ法によるサンプリングと,混合ベルヌーイ分布によるクラスタリングを組み合わせた手法を提案した.その結果,提案手法で推定した最適なクラスタ数や予測分布から求められたオーバーラップなどの情報から,大域的な定常解や,転移点が精度よく求められた.さらにこの手法を組み合わせ最適か問題のK-SATに適用中である. 近年の計測技術の発展から,得られるデータの量は莫大になり高次元化の一途をたどっている.その高次元データの表現方法として画像が頻繁に用いられる.ヒトは高次元データを画像としてとらえて,そこから計測の対象である系の描像を抽出している.MRFは画像処理を行う確率モデルであり,さらに脳の視覚野の計算論的な側面をもつ.我々はそのMRFの二面性に注目し,MRFを画像として表現された高次元データから描像を抽出する手法と考えた.本年度は地震波の速度分布の高次元データにMRFを適用し,データに潜む隠れた構造である地質学的特性を抽出する手法を確立した.
|