2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20240030
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
山森 哲雄 National Institute for Basic Biology, 脳生物学研究部門, 教授 (80260206)
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Keywords | 視聴覚弁別課題 / 連合刺激 / 反応速度 / 2次視覚野 / 上丘 / 大脳皮質 / 領域 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
連合野の機能を解明する為にラットと霊長類を用いて以下の研究を行った。 (1)当研究室と京都大学の櫻井芳雄教授との共同研究でラットの視聴覚弁課題の脳内過程を解析している。これまでの研究で視聴覚弁別課題における視覚と聴覚刺激がほぼ同時刻に与えられた時の、反応速度の促進にラット二次視覚野の外側部(V2L)が重要な役割を果たすことを最初期遺伝子c-Fosの発現とムシモールによる局所的神経活動の阻害実験により明らかにしてきた。今年度は、更に上丘からの多点電極記録法により、視聴覚連合刺激が左右の上丘の神経活動の差を強調することによって反応速度の促進を惹起している可能性を示した。 (2)霊長類の連合野特異的発現遺伝子の一つとして、RLCS法により、SLIT1を見出した。Slit遺伝子は、もともとショウジョウバエ幼虫の表皮のパターン形成に異常のある遺伝子として報告されたものであるが、マウスの脊髄交連線維の中線交差の制御因子として有名である。しかし、これらの発生期における制御では、SLITの受容体であるROBO発現神経細胞はSLITを避けて投射する為、SLITとROBOの発現は、相補的であるのに対して、霊長類連合野では、SLIT1とROBOsは同じ神経細胞に共に発現しており、発生期とは、異なる役割を演じていると考えられる。また、SLIT1のファミリー遺伝子であるSLIT2とSLIIT3の発現を調べたところ一部オバーラップしているものの基本的に異なる層で相補的に発現していることから何らかの機能的分担があるものと推測された。
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