2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20240038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
祖父江 憲治 Osaka University, 医学系研究科, 教授 (20112047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90238105)
森田 強 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80403195)
真柳 平 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教 (20432544)
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Keywords | 内分泌恒常性 / 感情障害 / グルココルチコイド / ストレス / 大脳皮質形成 / カルデスモン / シナプス / 神経回路網 |
Research Abstract |
社会環境の多様化・複雑化に伴い増加するうつ病・パニック障害・PTSDなど感情障害に関して、ストレスを初めとする外的環境変化による内分泌系恒常性の破綻は、発症の有力な要因と考えられている。研究代表者らは、細胞運動を制御するアクチン系細胞骨格蛋白質群やシナプス後肥部(PSD)に局在する足場蛋白質群を発見し、細胞運動やシナプスダイナミクスの研究を行ってきた。これら研究を基盤として本研究は、ストレスのメディエターであるグルココルチコイドや甲状腺ホルモンなど内分泌系恒常性破綻による大脳皮質形成障害とシナプス形成異常を脳発達期と成熟期の両面から解析し、感情障害発症の分子基盤を解明を目的とし研究を行っている。胎生期のストレス/グルココルチコイド過剰暴露に伴う大脳一過性発達遅滞の原因遺伝子としてカルデスモンを同定し、一過性大脳発達遅滞はグルココルチコイド過剰によるカルデスモン発現亢進が、神経前駆細胞(興奮性ニューロン)の細胞運動(radial migration)障害を起すことを証明した。同様の機作により、抑制性ニューロンのtangential migrationにも障害を起すことも見い出した。この大脳発達遅滞は一過性であるが、成熟脳において一過性発達遅滞に起因する大脳皮質一辺縁系の神経回路網形成異常を11.3ステラ-MRIを用いて検出することに成功した。現在、神経回路網形成異常と行動異常との相関を解析中である。神経細胞極性決定にCRMP2とタウ蛋白質の神経突起上での合成系制御が重要な役割を果たすことを見い出した。PSD蛋白質として発見したPSD-zip70の遺伝子欠損マウスを作製し、PSD-Zip70欠損によるシナプス形成異常は、低分子量G蛋白質の制御障害によることを見い出し、PSD-Zip70が新たな低分量G蛋白質経路によりシナプス成熟に関与することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)