2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルネットワークゲルが生体内で誘導する関節軟骨自然再生現象の分子機序の解明
Project/Area Number |
20240045
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 和則 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近江谷 克裕 産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 主幹研究員 (20223951)
北村 信人 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80447044)
小野寺 伸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00359481)
権 赫準 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (20455629)
黒川 孝幸 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特任助教 (40451439)
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Keywords | 関節軟骨欠損 / 自然再生 / 硝子軟骨 / 分子機序 / 高機能生体材料 / ダブルネットワークゲル / 再生誘導 |
Research Abstract |
(1)家兎軟骨細胞のEST libraryを世界で初めて構築し、データベース化した。独立クローンは2387個であり、1839個が過去に報告された遺伝子と一致した。得られたDNAを基板上配置にしたDNAアレイを作成した。これを用いて家兎膝関節(大腿骨)に軟骨欠損を作成し、PAMPS/PDMAAm DNゲルで誘導した再生軟骨に発現している遺伝子を網羅的に解析した。機能分類の結果は正常軟骨と近似していた。 (2)PAMPS/PDMAAダブルネットワーク(DN)ゲル、PVAゲル、UHMWPEポリマーを家兎膝関節に埋植し、4週後に再生した細胞における軟骨マーカー(2型コラーゲン,Aggrican,およびSOX9)mRNAの発現をリアルタイムPCRにて比較した。DNゲル群で正常軟骨細胞と比肩し得る量の発現が見られたが、他の群ではほとんど見られなかった。 (3)DNゲルおよびポリスチレン上でATDC5細胞を培養し、リアルタイムPCRを行なって比較した。DNゲル上の培養では7日目にこれらのmRNAの発現が認められたが、ポリスチレン上では発現がなかった。 (4)軟骨分化との関連が指摘されているBmal1遺伝子のプロモータと甲虫由来ルシフェラーゼ(Luc)を融合したレポーターベクターを作製し、ATDC5細胞に導入して安定株を構築した。刺激によってATDC5細胞を軟骨細胞へと分化させ、その過程におけるレポーターの発光量の変動を測定した。その結果、個々の細胞においてBmal1が同じ位相を持ち、互いに同調しながら約6時間周期のUltradianリズムが発現することが発見された。 (5)PCRによって増幅したII型コラーゲンとSox9のプロモータ領域を、2色の発光プローブ(甲虫赤色Luc遺伝子と発光甲虫緑色Luc遺伝子)の上流に導入し、複数の遺伝子の発現が同時にモニタリングできる多色発光レポーターを構築した。これらのベクターを用いて軟骨マーカーとBmal1遺伝子の発現を同時にモニタリングできるATDC5発光安定株を作製し、それらの発光量の変動をリアルタイムでイメージングすることに成功した。
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