2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20240049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 厚 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40190566)
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Keywords | ポリカチオン / くし型共重合体 / ナノマシン / DNA / 高次構造転移 / 高分子電解質複合体 / 核酸4重鎖 |
Research Abstract |
ナノマシンの体内動態制御:ナノマシンシステムによる治療効果の効果的発現させるためには、ナノマシンシステムを患部に集積させる必要がある。そのためには、生体内でのシステムの安定化と患部への移行性の向上が必要となる。カチオン性くし型共重合体は、オリゴ核酸分子の血液内安定性と血液滞留性を著しく高めることが明らかになった。また、くし型共重合体そのものの皮下移植担ガンマウスに対する動態を評価した結果、共重合体は、ガン組織に集積し、滞留することが見いだされた。さらにその特性は、共重合体の側鎖および主鎖の分子量に依存し、分子量が増大するほど集積・滞留効果が高まることがわかった。また、共重合体は肺転移ガンモデルにおいてもガン組織に集積することが示唆された。 核酸ナノマシンの構造転移制御:カチオン性くし型共重合体に蓄積してきた知見を基に、生体内で核酸ハイブリッドを安定化する高分子材料、異なる核酸コンフォーマー間の転移を促す高分子材料の開発を進めた。共重合体は、核酸ナノマシンやアプタマーなどで頻繁に見られる核酸4重鎖の形成を3オーダー促進することが見いだされた。また4重鎖核酸と単鎖核酸との鎖交換反応を活性化することが見いだされた。共重合体と長鎖核酸との相互作用を詳細に検討するためにフローストレッチング法を利用した。その結果、側鎖グラフト率を制御することで、長鎖DNAの凝縮と緩和を制御できることがわかった。また、15マイクロメーター程度に伸張しているDNA鎖に対して、ポリカチオンは数秒以内に凝縮または収縮させることが明らかにされた。
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