2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子マーカーによる動物プランクトン初期幼生の判別・自動計測と生態学的研究への応用
Project/Area Number |
20241003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 敦 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授 (80217314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 龍二 東京大学, 海洋研究所, 特任研究員 (40401294)
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Keywords | 分子マーカー / 動物プランクトン / 自動計測 / 生物海洋 / 環境計測 / 初期生活史 |
Research Abstract |
本年度は、白鳳丸航海KH-08-2次航海に乗船し、Neoeaianus属カイアシ類3種を北太平洋より採集し、エタノール標本として、プローブ分析の基礎資料とした。実験室においては、リアルタイルPCRの購入とそれに伴う立ち上げを行うとともに、Neocalanus plumchrusを対象に、種特異的にハイブリダイゼーションするプライマーとプローブを設計し、実際にサンプルで実験を試みた。設計したプローブとプライマーのセットでは、Neocalanus plumchrusの遺伝子が増幅されたが、近縁種N. flemingeriを対象としても、PCRのサイクル数を多くすると対象遺伝子が増幅されることが明らかとなった。今後、N.flemingeri特異のプローブとプライマーも作成し、卵・幼生といった未知の試料を解析する時は、両種のプローブとプライマーを適用、解析をすることが必要であることが明らかとなった。現在、このN.flemingeri用プライマー・プローブの設計に取り組んでいる。既存試料の解析においては、親潮域における本属の鉛直分布構造を季節ごとに明らかにし、対象とする季節と採集深度を確定した。さらに、N.flemingeriには、大型・小型の2形が出現することが知られているが、この2形が種レベルよりは変異が小さいが遺伝的に異なる集団であることが、ミトコンドリアCOIと12S遺伝子配列の解析によって明らかとなった。この大型・小型の遺伝距離はミトコンドリアCOI,12S遺伝子でそれぞれ、0.036、0.006(p)と近縁種間の遺伝距離と比較すると小さく(例えばN.plumchrusとN. cristatusの遺伝距離(p)はそれぞれ、0.162、0.076)、比較的近年に出現した集団であることが推察された。
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Research Products
(16 results)