2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子マーカーによる動物プランクトン初期幼生の判別・自動計測と生態学的研究への応用
Project/Area Number |
20241003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 敦 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授 (80217314)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町田 龍二 東京大学, 海洋研究所, 特任研究員 (40401294)
|
Keywords | 分子マーカー / 動物プランクトン / 自動計測 / 生物海洋 / 環境計測 / 初期生活史 |
Research Abstract |
水産総合研究センター調査船、北光丸、若鷹丸による10,1,3月の航海で親潮域より、鉛直区分採集を行い、試料を得た。プライマーと加水分解プローブのセット、Nep1、Nef1の相同性検索の結果、相同配列を有する、その他のカイアシ類は存在しなかった。採集サンプルから、Neocalanus属3種とその他のカイアシ類5種の成体雌を各5個体得た。これらの個体から抽出した計40個体のDNA試料を使用し、Nep1とNef1でReal time PCRを行った。その結果、Nep1でN.piumchrus 5個体全て、Nef1でN.flemingeri 5個体全ての増幅曲線が最も早く立ち上がった。Nep1とNef1の両方で、目的種以外の他のカイアシ類でもサイクル数を増やすと、増幅曲線が形成される事が分かった。また、DNA抽出の際、全てのサンプルから同じDNA量を抽出する事が出来なかった為、目的種の個体間で増幅曲線の立ち上がりサイクル数のばらつきが生じた。しかし、目的種と非目的種では増幅曲線が立ち上がるまでに大きな差があり、実験から得られたグラフから目的種を判別する事が可能である。また、ノープリウス幼生で解析を行う際に、試料を成長段階ごとに分類し、体長が同じ個体群で解析を行う事により、ある程度抽出するDNA量を統一し、目的種の増幅曲線の立ち上がりサイクルのばらつきを抑え、正確に目的種を判別できると考えられる。Real time PCRでは、最大384試料の同時解析が可能であり、一度に多量の試料の解析が出来る。Real time PCRによる正確な同定分類方法の確立は、動物プランクトンの初期生活史の研究の進展と、大幅な簡便化に繋がると考えられる。今後は、4,5,6月航海で、試料を採集するとともに、初期生活史の解明を目指す。
|
Research Products
(17 results)