2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレスによるゲノム損傷の修復を制御する新たな分子機構の解明
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20241013
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菅澤 薫 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環バイオシグナル研究センター, 教授 (70202124)
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Keywords | ヌクレオチド除去修復 / XPC / UV-DDB / ユビキチン化 / SUMO化 / プロテアソーム / 紫外線 |
Research Abstract |
これまでの研究で、19Sプロテアソーム・サブユニットの一つであるPSMD14が紫外線照射後のXPCの脱ユビキチン化に関わることが示唆された。そこでPSMD14の発現抑制が細胞のヌクレオチド除去修復(NER)活性や修復タンパク質の動態に及ぼす影響を詳細に解析した。その結果、特にDDB2を安定に過剰発現する細胞でPSMD14をノックダウンした上で紫外線を細胞全体に照射し、ユビキチン化XPCの蓄積を誘導した状態でさらに細胞核内に局所紫外線照射を行うと、XPCの損傷部位への集積に大幅な遅延が見られた。 この結果は、紫外線損傷部位でUV-DDB E3リガーゼによってユビキチン化されたXPCが次の損傷認識に移行する際に脱ユビキチン化を必要とする可能性を示唆するものである。一方、細胞をプロテアソーム阻害剤で処理すると紫外線照射によるXPCユビキチン化の誘導が著しく減弱するという現象が見出された。この時、細胞内の遊離ユビキチンは必ずしも枯渇しておらず、プロテアソームの阻害がUV-DDB E3リガーゼの活性化に何らかの影響を与えていることが示唆された。さらに興味深いことに、プロテアソーム阻害剤処理によって紫外線照射後にDDB2がクロマチンに結合したまま解離せず、その結果(6-4)光産物の修復がDDB2の発現レベル依存的にブロックされることがわかった。我々は以前にin vitroの実験から、DDB2のユビキチン化によってUV-DDBが損傷DNA結合能を失うことを見出し、UV-DDBからXPCへの損傷の受け渡しがユビキチン化により促進される、というモデルを提唱した。今回得られた結果はこのモデルを強く支持するものであり、UV-DDBE3リガーゼの活性化機構とDDB2のユビキチン化部位の同定に関して現在解析を進めている。
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Research Products
(9 results)