2008 Fiscal Year Annual Research Report
親電子性環境物質の感知・応答センサーとリスク軽減因子
Project/Area Number |
20241015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊谷 嘉人 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00250100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 大悟 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30400683)
高野 裕久 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 領域長 (60281698)
井上 健一郎 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 生体影響評価研究室長 (20373219)
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Keywords | 親電子化合物 / 共有結合 / 多環芳香族炭化水素キノン体 / ヒ素 / メチル水銀 |
Research Abstract |
本年度は親電子性環境物質の感知・応答センサーに関する研究を中心に行った。 得られた結果を下記に示す。 メチル水銀:アルギナーゼIは肝臓に存在する主要マンガン結合タンパク質である。 メチル水銀をラットに曝露すると、 肝臓中のアルギナーゼI活性は低下し、肝臓中マンガン含量は減少した。興味深いことに、両者の間には有意な相関関係があった。 アルギナーゼIの精製酵素標品を用いた結果、メチル水銀はアルギナーゼIの反応性チオール基に共有結合して不溶化し、その結果、本タンパク質中からマンガンが遊離することが示唆された。 同様な現象が肝臓中に存在する.39kDaタンパク質にも観察され、このものがソルビトール脱水素酵素(SDH)であることが同定された。 多環芳香族炭化水素キノン体:大気中に含まれる9.10一フェナントラキノン(9,10-PQ)は細部内の2電子還元酵素であるAKR1Cに代謝され9,10-PQH2となり、両者は不均化反応することで活性酸素種の産生に係るセミキノンラジカル体に変換されることを見出した。 さらに、9,10-PQH2はUGTによりモノグルクロン酸抱合体(PQHG)に変換され、細胞外に排泄されるが明らかとなった。 PQHGは9,10-PQや9,10-PQH2と異なり、レドックス活性、細胞内ダンパク質の酸化修飾活性および細胞毒性を示さない解毒代謝物であることも明らかとなった。 ヒ素:ヒ素の細胞毒性はその取り込みと排泄によって制御されている。 水の輸送に重要なチャンネルであるアクアポリン9の発現を低下すると、ヒ素の細胞毒性は低下し、逆に本チャンネルを高発現すると細胞毒性は有意に上昇した。このことから、ヒ素の細胞毒性にはアクアポリン9を介したヒ素の細胞内取り込みが重要な役割を担っていることが示された。
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Research Products
(18 results)