2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性汚泥方からの脱却・インドからの超低コスト省エネ型下水処理システムの逆技術移転
Project/Area Number |
20241019
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大橋 晶良 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70169035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田一 智規 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10379901)
尾崎 則篤 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (50294541)
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Keywords | 途上国 / 下水処理 / エネルギー / バイオテクノロジー / 地球温暖化ガス / UASB / DHS / 硝化・脱窒 |
Research Abstract |
これまで開発を行ってきたDHSリアクターは,途上国仕様を念頭に研究してきた処理装置で,先進国で要求されるような良好な処理水質は期待していなかった。しかし,超低コスト型にも係わらず長期連続処理運転において,余剰汚泥発生ゼロであり,処理水質は活性汚泥法と同等以上であることが明らかになってきた。すなわち,途上国仕様に開発してきたDHSリアクターであるが,先進国にも適用可能な活性汚泥法に代わるシステムとして期待できる。そこで本研究ではインドで蓄積した知見を日本のような先進国に逆技術移転し,先進国も視野に入れた21世紀型排水処理システムを創成することを目的に,本年度はベンチスケールの人工下水連続処理実験などを実施し,次のような知見を得た。 1.UASB処理水の溶存メタンは,後段の密閉型DHSリアクターにより,適切に空気を供給すれば微生物酸化により大気に放散されることなく処理できることが分かった。この良好に処理できるのは,メタン酸化細菌と有機物酸化細菌の増殖速度が同程度で共存しているためであることが明らかになった。また硝化の進行はメタン酸化の後に起こることも分かった。 2.下水の濃度が低い場合は,UASBリアクターを設けなく,DHSリアクター単独で処理する方が良好に処理できることを実下水を用いて明らかにした。 3.硝化過程で発生する亜硝酸性窒素ガスはメタンとの共役で微生物分解できることを発見した。この新規の微生物の16Sr RNA遺伝子に基づいた系統的位置を明らかにした。 4.密閉のDHSを嫌気・好気を繰り返すことで,下水処理水から高濃度のリン含有水としてリンを回収することができ,この担い手のリン蓄積細菌は耐塩性であり,下水だけでなく高塩濃度の排水においても適用できることが分かった。
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