2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20241023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 理一郎 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 教授 (00178518)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 共鳴ラマン分光 / 発光(PL) / 螺旋度 / 電子格子相互作用 / 二重共鳴ラマン分光 / コーン異常 |
Research Abstract |
(1) カーボンナノチューブの励起子スペクトルにおける暗励起子状態エネルギーの計算をおこない、単一カーボンナノチューブの磁場下での発光メペクトルと比較した。暗励起子状態エネルギーの螺旋度依存性を説明したが、暗励起子と明励起子のエネルギー差の絶対値が実験とあわない問題点がわかり、さらに詳細な検討が必要であることがわかった。 (2) 金属ナノチューブのラマン分光では、ナノチューブのフェルミエネルギーを変化させると、フォノンがソフト化すること(コーン異常)が知られている。ソフト化やスペクトル幅の増大が、ナノチューブの螺旋度に依存することをGバンドとRBMバンドと呼ばれるラマンスペクトルで見出した。これらの結果をもとに、そのほかのモードでも検討を行う。 (3) 香港科学技術大学との共同研究で、非常に細い(2, 2)ナノチューブが、金属と半導体の2つの電子状態を一つの立体構造で準安定ながらとりえることを示した。これは、ラマン分光でも確認された。非常に細いナノチューブの結果は、従来の概念と異なり興味深い。 (4) 励起子エネルギーは、ナノチューブの周りの物質によって100meV程度変化する。これを環鏡効果と呼ぶ。実効的に働く誘電率が半径に依存すると、実験値を再現できることを示した。この結果を用いて、3種類の実験条件の異なるサンプルの励起子エネルギーを計算によって再現し、環境効果を高い精度で再現することが可能になった。解析的な評価をすることが課題である。
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Research Products
(19 results)