2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20241023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 理一郎 Tohoku University, 理学研究科, 教授 (00178518)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 共鳴ラマン分光 / 発光(PL) / 螺旋度 / 電子格子相互作用 / 二重共鳴ラマン分光 / コーン異常 / 励起子 |
Research Abstract |
(1)カーボンナノチューブの励起子の環境効果 カーボンナノチューブの光物性は、その励起子の効果が本質的である。ナノチューブのまわりある物質や環境によって、励起子のエネルギーが変化することを環境効果と呼ぶ。われわれは、まわりの環境の効果を、直径や螺旋度に依存する誘電定数を導入し、多くの螺旋度のナノチューブの励起子の環境依存性を高い精度で計算によって再現できた。この研究はさらに、金属半導体ナノチューブの違いについても説明すべく発展中である。 (2)ナノチューブおよびグラフェンのコーン異常 金属ナノチューブの共鳴ラマン分光では、Gバンドと呼ばれるフォノンがソフト化を起こすことが知られていて、これは自由電子との相互作用であるコーン異常の現象として理解している。昨年度までに、コーン異常のソフト化の螺旋度依存性などを理解したが、今年度はさらにラマンスペクトルを直接計算し、ソフト化を起こすモードの強度依存性を明らかにした。また、グラフェンエッジにおけるコーン異常も同様な手法で検討し、エッジの構造に特異的に起こるラマンスペクトルの異常性に関して理論的に予言して、実験と比較した。最後の問題に関しては、さらなる実験が必要である。 (3)実験グループとの国際共同研究 MITのグループ及びチェコの実験グループとコーン異常のラマンスペクトルの解析を行い、論文に3件発表した。中国科学院金属材料研究所の実験グループと、表面増強および干渉効果によるグラフェンエッジ状態のラマンスペクトルの解析を行い、2件発表した。また、同グループとBNの電子状態に関する計算を行った。米国ライス大学グループとコヒーレントフォノンの実験の解析を行い、論文を1件発表した。ブラジルのUFMG大学グループと励起子の環境効果に関する解析を行い、論文を1件発表した。
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Research Products
(22 results)