Research Abstract |
平成22年度は前年度に引き続き,汎用性のある材料創製技術の確立を目的に,シリコン以外にもGaAs,InPなど他の半導体あるいは金属材料へ申請者らが提案する構造転写プロセスの適用性を検討した。前年度までは基板をエッチングする際に,金属触媒エッチングを主に利用していたが,本年度は電解エッチングを利用し,二次元平面の構造転写に留まらず,基板深さ方向にも規則構造を維持した三次元規則構造体の作製条件の最適化に努めた。また,これまではコロイド結晶を直接マスクとした単純なネガポジプロセスを中心に研究を進めてきたが,既存のフォトレジストを用いたパターン形成技術を導入することで,従来よりも規則性,再現性に優れた,マスクの作製条件を見出した。ハニカム状に開口部を持つマスクを介した電解エッチングにより,GaAs,InP基板上に高アスペクト比構造を持つ規則的なポーラス構造を形成し,研究成果は論文として公開した。特にGaAsに関しては,電解エッチング時の孔発生を誘導するプレピットを化学エッチングで形成し,二次元平面における規則的な周期パターンを制御した上で,電解エッチングを施すことにより基板深さ方向に高アスペクト比(孔深さ/孔径の比:350)を持つポーラス構造を作製することに成功した。さらに二次処理として,結晶方位に依存した異方的エッチングを行うことで,ポーラス構造の孔径を拡大し,隣接する三つの孔の三重点位置に三角形の断面構造を持つGaAsピラー構造を得た。
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