2009 Fiscal Year Annual Research Report
水力学的手法によるマイクロ・ナノ構造体の高速連続分離原理の確立
Project/Area Number |
20241031
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 実 Chiba University, 大学院・工学研究科, 教授 (80206622)
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 分離工学 / 微粒子分級 / 流体素子 / セルソーター / 細胞解析 / マイクロ流体工学 / 血球分離 |
Research Abstract |
マイクロ・ナノ流体デバイスを利用した微粒子・液滴・高分子等を連続的かつ高速で分離・分級するための新しい原理(PFF法およびHDF法)のメカニズムと適用範囲を明確化ならびに実用的な応用に関して以下の検討を行い,有益な知見を得た。 (1)粒子の軌跡と流線の関係:今年度購入した高感度高速度ビデオカメラを利用しマイクロPIV法による詳細な現象の把握に努めた。特に,HDF法の枝流路分岐点近傍の流線と粒子の軌跡の関係を詳細に検討し,枝流路に入り込む流れと主流との境界形状が重要な意味を持つことを明らかにした。 (2)マイクロ流路内流速分布の3次元的計測:高速度カメラによるPIV測定が可能な流速範囲では,流路の深さ方向の流れ(2次流れ)が問題になることはなかったが,今後,デバイス材料をより強固なものに変更し,高流速・高処理量で実験を行った場合には,分離に影響する可能性がある。 (3)流路形状が粒子分離に与える影響:枝流路と主流路の抵抗比が重要であり,枝流路への流入量を低下させると分離安定性に影響がある。これらを踏まえて,種々の細胞サンプルと高速分離を試みた。 (4)壁面近傍で粒子整列と粒子回転の影響:片側に金をコーティングしたキメラ粒子を用いた高速度カメラによる観察から,粒子は壁近傍で回転していることが明らかになったた。さらに,双子粒子のように短径と長径の異なる粒子も同様に回転していることから,HDFによって形状に基づいた分離も可能であることが明らかとなった。この結果を踏まえて,出芽酵母のセルサイクルに依存した分離を行い,細胞齢の揃った分画を得ることが可能であることも示した。
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