2008 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクス解析のための1分子ゲノムDNAメチル化検出デバイスの開発
Project/Area Number |
20241032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬場 嘉信 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (30183916)
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Keywords | エピジェネティクス / マイクロ・ナノデバイス / DNA伸張 / 一分子計測 |
Research Abstract |
がんをはじめとした生活習慣病の診断には、従来、1塩基多型(SNPs)など先天的なゲノム変化の検出に精力が注がれてきた。しかし、生活習慣病リスクの高い成人・高齢者においては、環境因子・生活習慣などによる後天的なゲノム変化であるエピジェネティクスを解析することが特に重要であることが最近明らかにされてきている。現在、エピジェネティクス解析には煩雑な行程と多大な時間を必要する。本研究では、代表的な後天的ゲノム変化であるゲノムDNAメチル化について、マイクロ・ナノ空間の特性を生かすことで、精密な細胞操作と1分子ゲノム操作および超高速・超高感度メチル化検出反応を実現できるデバイスを開発し、単一細胞からPCR無しに1分子ゲノムDNA上のメチル化検出を行い、現行技術より数十倍の高速化と正確さを兼ね備え、かつメチル化の部位まで同定できる解析システムを実現する。2008年度はこの目的達成のためにマイクロ空間内での1分子DNAの伸張および凝縮をリアルタイムで観測可能な手法の開発に着手した。マイクロ空間内で1分子DNAの伸張・凝縮を観察するためにマイクロ流路表面を改質し、DNAの片末端のみを表面に固定化することで流体下でのDNAの伸張に成功した。そして、DNA伸張下、注入する溶液を水溶液からエタノールへと交換することで1分子DNAの伸張・凝集の観測に成功した。さらに、ハイスループット解析のために一度に異なる濃度のエタノールをDNAに作用可能なマイクロ流路を設計するとともに安定な水-エタノール界面を形成するために溶液導入方法の検討を実施した。これにより一度に異なる濃度のエタノールを作用させた場合のDNAの凝集・脱凝集状態を観測可能とした。つまり2008年度の研究実施項目により我々の提案するPCR不要の1分子ゲノムDNA上のメチル化検出法の基礎となるデバイス作製ができたものと考えられる。
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Research Products
(6 results)