2011 Fiscal Year Annual Research Report
人の認知・判断特性を踏まえたシステム安全のための技術的支援と法理論
Project/Area Number |
20241039
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲垣 敏之 筑波大学, システム情報系, 教授 (60134219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00282343)
池田 良彦 東海大学, 法学部, 教授 (60212792)
芳賀 繁 立教大学, 現代心理学部, 教授 (10281544)
栗田 多喜夫 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10356941)
高橋 宏 湘南工科大学, 工学部, 教授 (80454156)
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Keywords | システム安全 / ヒューマンファクター / 権限と責任 / 人間機械協調 / 刑事過失責任 / 多層的リスク制御 / 低覚醒状態検出 / 動作認識 |
Research Abstract |
ヒューマンファクター,権限と責任,技術的支援の3つの研究アスペクトを設けて研究推進を図った. ヒューマンファクター研究アスペクトでは,高度技術を用いた運転支援システムと運転者・操縦者との相互作用としての「過信」ならびに「過度の依存」を抑制・防止するための支援システム設計の要件を明らかにした.また,運転支援が運転者に及ぼす影響を明らかにすべく,リスク・ホメオスタシス説とワークロード・ホメオスタシス説の比較検討を行った. 権限と責任研究アスペクトでは,交通移動体の運転支援システムと運転者・操縦者との相互作用の文脈のなかでの過失認定をめぐる現行法理論の問題点と課題を明らかにし,人と高度技術システムが複雑に絡み合うシステム性事故における人間のエラーを法的な側面から検討する際に,英米法や大陸法など法思想の異なる国との比較を通して我が国の刑事責任のあり方について考察を進め,システム性事故を真に適切に扱うことができる新しい法理論を検討した. 技術的支援研究アスペクトでは,着座接触圧から低覚醒状態と注意転導を検出する手法の高精度化,動画像から行動を認識するための手法の認識性能の向上,視覚的および聴覚的な閾下刺激による注意誘導手法を利用した多層リスク制御機構の機能評価を行った. 本研究成果の社会還元のひとつとして,「システム安全における人と技術と法」と題するシンポジウムを企画・開催(2011年10月6日)し,交通移動体の高機能化がもたらす特徴を踏まえた技術的支援としての多層リスク制御技術と,人の認知・判断・操作の特性に配慮した法理論とそれを具現する機能的安全法制の必要性・有用性を広く一般に伝えるとともに,今後の研究が目指すべき課題について,約100名のシンポジウム参加者を交えて討議した.
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Research Products
(48 results)