Research Abstract |
安全工学を念頭に置いた爆燃/爆轟の爆発現象に関する研究例は少なく,今後その一層の充実が必要である.この問題の困難さは,爆発現象そのものが予見できない事故であることや規模が大きく,対象とする場が様々な意味で理想的ではないことに起因している.また,爆発現象を考えるとき,閉鎖的空間と開放的空間において生じる燃焼形態や爆発現象の時間的発展について違いがある. 本研究課題では,閉鎖的空間,その中でも管内における爆発現象に着目して研究をすすめる.これは,原子力発電所や水素貯蔵施設など燃料の漏洩を嫌い気密性が重要とされる施設の事故において,配管内部における爆発発生により施設に多大なる損害が生じたと事故報告がなされているからである. 期間内に取り組む研究内容:以下に,本研究課題で取り扱う「管内における爆発」に関する研究内容を示す. (1)曲がり管内の曲がり部における衝撃波/爆轟波の伝播過程の解明 (2)曲がり管内の曲がり部における衝撃波/爆轟波の管壁への荷重過程の解明 (3)管内における衝撃波の液相入射に伴う干渉過程の解明,及び管壁への荷重過程の解明 (4)管内における爆轟波の液相入射に伴う干渉過程の解明,及び管壁への荷重過程の解明 上記の研究内容は,大きく2つのテーマに分けられる.1つめは,曲がり管内における爆発波(爆風/燃焼波)の問題である.施設内の配管は直管部が主であるが必ず曲がり部を有している.そしてそのことが配管内における爆発発生時において多大なる圧力負荷がかかることとなり配管破断に陥り,施設に多大なる被害を及ぼすこととなる.2つめは,事故発生時の被害予測として不明な点が多い爆轟波と液相との干渉である.配管内部に滞留している液相(水など)に爆轟波が入射した場合には,反射と透過が起こり,反射による管壁への圧力増大と液相との干渉による相変化などが予想される.これらの内容については,実験と数値解析において条件を合わせることにより,現象の細部にわたる比較検討を行い,爆発現象とその被害発生を科学的に取り扱うことを目指す.そして,数値解析技術により,現象再現の可能性を明らかにすることを目的とする.
|